第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第74話 高みへの挑戦:3/3
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もいいように体制を整えた。紫に斬りかかって距離をおいていたブラックカイザーも既に自分の元に呼び戻してあり、万全の状態である。
そんな勇美に対して、紫は新たなスペルカードを宣言する。
「【魔境「パラドックスの怪」】」
先程の『ラプラスの魔』と語感が似ているスペルであった。恐らくそれのアレンジを施して開発した代物であろう。
どこからでも掛かって来て下さい。そう強い意志で向かえ打つ姿勢の勇美。
そんな勇美の姿勢に応えるかのように、はたまた嘲笑うかのように事は起こっていった。
まず、紫の周囲から黒と紫色のオーラのようなものが放出したかと思ったら、一気に辺り一面に広がっていったのである。
(……ワルプルギスの夜と同じようなものかな?)
その演出に勇美は、これから起こる事にそれ位の事だろうかと思ってしまう。
だが、そうではない事がこの後すぐに分かるのだった。まず辺りを包んだ黒と紫色のオーラの量は濃厚であり、半端なかったのだ。
(これは……)
それだけで勇美は今の異様な状況というものが実感出来た。
そして、感じたのだ。紫はこれで勝負に出て来たという事を。
そう勇美が思っていると、瞬く間に黒と紫色は完全に周囲を支配したのだった。
その瞬間、勇美は理解した。これは断じて目眩ましの効果を狙ったもの等ではないと。もっと得体の知れない何かが、このスペルからは感じ取れるのだった。
(……)
勇美がそのような考えを巡らせている間にも、変化は目に見て取れる形となっていった。
◇ ◇ ◇
「あれ……?」
勇美は思わず首を傾げてしまった。他でもない、今いる状況である。
今まで彼女は紫の扱う空間にいた筈である。それが今は……。
崩れかかったコンクリートの壁に、剥き出しの地面。それはまるで。
「廃墟……?」
勇美が呟く通りであった。今彼女がいる場所は、使われなくなり崩壊しかけた建物の一階のフロアそのものであったからだ。
取り敢えず外へ出るべきか。勇美が思っていると、突然彼女の前に何かが迫って来たのだった。
その正体は勇美は分からなかったが、取り敢えず危険が迫って来た事は理解出来た。だから彼女は黒騎士に命令を下したのである。
「ブラックカイザー、向かえ打って!」
勇美の命に応え、黒騎士は手に持った大刀を目の前に構えて勇美を護る体制を取った。
そして、次の瞬間、彼の持つ刀にビームが当たったのだった。パキンと弾かれるような音が鳴り響くも、彼の刀は無事で、見事にビームの攻撃を防ぐ事に成功したのだった。
取り敢えず、彼女達は何者かの攻撃を防ぐ事には成功した。だが、それだけでは当然安心出来る状況ではなかった訳だ。
彼女達が次にやるべき事。それは、今の攻撃を仕掛けて来た敵をその目で認識する事であった
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