第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第73話 高みへの挑戦:2/3
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締めた。
そう勇美が身構える中、紫は次なる手を見せるのだった。
「【魔眼「ラプラスの魔」】……」
紫がそう噛み締めるようにスペル名を口にしたと同時であった。彼女の名前と同じ、紫色の瞳は瞬時に真っ赤に染まり妖しい光を放ったのであった。
「!!」
その異様な光景に勇美は驚きの感情の元身構えるのだった。
目に焼き付く様相であるが、ここで取り乱したら隙が出来てしまい、敵の思うつぼだからだ。
だが、既に勇美は敵の術中であったのだ。紫にこのスペルの発動をさせ、彼女の瞳が光るのを許してしまった時点で手遅れだったという訳だ。
『ラプラスの魔』その発動と共に辺りに異変が起きたのだ。歪なグラデーションの空間に浮かび、足場の役割をしている白い光の板。これが生きた蛇のようにウネウネと蠢き始めたのだった。
「何っ!?」
目に見えて大がかりな異変が起こった事で勇美は焦りを見せる。
そう勇美が驚愕する最中、その変化は激しさを増していったのである。まるで波打つように道はのたうち回り、みるみる内にその構造を変化させていったのだった。
今までは基本的に一本道だったその光の足場は幾重にも枝分かれして、迷路のように入り組んでしまっていった。
その大々的な戦場の変化も、じきに終わりを迎える事となる。漸く激しい足場の暴れっぷりの光景から解放された勇美は、ふと一息ついた後で辺りを見回した。
だが、次の瞬間勇美はその行為を後悔する事となる。何故なら……。
「依姫さん……?」
そう、今までこの戦いの陰の支えとなっていた依姫の姿が見えなくなっていたからである。そして、その瞬間彼女は紫の言葉を思い出すのだった。
『あなた達の絆……、ちょっと邪魔させてもらおうかしら……?』
その言葉を思い出し、勇美は合点がいったようであった。
「紫さん、これ、あなたの仕業ですね」
「ええ、いかがかしら? 私からのプレゼントは?」
勇美の指摘に、当の紫は悪びれもせずにそうのたまったのだ。
思わず勇美は不安が胸の内をよぎるような不快感に襲われそうになる。が、それを寸での所で彼女は堪える事に成功する。
そして、勇美は強気の姿勢でこう言ったのだった。
「ええ、素敵ですよ。この私に紫さんは本気だって事ですからね」
「そう言ってもらえるとこちらとしても光栄ですわ」
皮肉に皮肉のぶつけ合いに勇美は応える事を選んだのである。本当は不安で心が締め付けられそうなのだが、今はそれを飲み込み紫へ自分の意気込みをぶつける事に専念しようと思うのだった。
それこそが弾幕ごっこをする者としてのたしなみと言えるからだ。紫の手痛い餞別も彼女の想いの具現であるのだから、その気持ちに勇美は応えなくてはならないのだ。
それに、いつも依姫に背中を預けてばかりはいられないのだ。偉大な
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