第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第73話 高みへの挑戦:2/3
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いもやか霧のようなものが立ち込め始めたのである。
特筆すべきはその量であった。それは呆気なく今いる空間をすっぽりと覆ってしまう程のものなのだった。
気付けば辺りはその霧で包まれてしまっていた。言うまでもなく、視界は最悪で一寸先を見通す事も出来ない。
そのような状況では不安が大きくなるだろう。当然勇美も例外ではなかった。
だが、そこに勇美にとって正に救いの手となる事が起こったのである。
「勇美、大丈夫?」
そう勇美を呼び掛ける声がした。それは紛れもなく……。
「依姫さん!」
勇美はその声の主の名前を呼び、思わず安堵の気持ちで満たされてくる。
「勇美、安心しなさい。すぐ側に駆け付ける事は出来ないけれども、確かに私は近くにいるわ」
「それだけで十分心強いですよ」
勇美のその言葉に嘘偽りはなかったのだった。姿は見えないまでも、大切な人がすぐ側にいてくれる事実。これだけで勇美にとって支えとなるのである。
だから、自分は迷う事なく懸命に戦うのみである。
そう心に決めながら勇美は次なる行動をする。
「まずは武器変更ね」
そう言うと勇美は今備わっている神々に意識を送った。金山彦命と天津甕星と愛宕様の三柱である。
それら三柱に勇美は敬いの念と共に送還の意思を示したのである。
その勇美の意思に三柱は快く応えたのである。それに加えて勇美に労いの意思すら見せたのだった。
それには勇美も嬉しくなったのである。偉大な神々から応援の意思を送ってもらったのだから。
その想いを糧に、勇美は二柱を送還すると新たなる神へと呼び掛けた。
「お願いします、祗園様」
言って勇美は念じると、彼女の前にもりもりと何か力強い感覚が集まってきたのだった。
それは他でもない、荒ぶる神である祗園様の力なのだ。その感覚を前に勇美はこう思った。
……やはり自分は依姫さんの助力の元、相当大それた力を借りているのだなと。
その事を勇美は今、改めて感じる事が出来た訳であった。初心を忘れてはいけないとはこの事である。
こうして再度自分が恵まれた境遇に巡りあった事を噛み締めながら、勇美は集めた祗園様の力を自分の操る鋼の塊へと送り込んでいったのだ。
「よし、出来た!」
そう得意気に言ってのけた勇美の前には、威圧的な貫禄を見せる大刀が顕現していた。
勿論、生身の人間、それも14歳の少女である勇美が扱えるような代物ではない。
だが、今は勇美には強力な相棒が存在するのだ。その者に勇美は呼び掛ける。
「ブラックカイザー、お願い!」
そう、今の勇美には彼女を護る逞しい体躯のナイトがいるのだった。勇美に呼び掛けられた彼は、姫君の命を受けるかのように勇ましく勇美の言葉に従い、その大刀をその手に掴むのだった。
がっしりとその頑丈な手で
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