第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第72話 高みへの挑戦:1/3
[8/8]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
美に言われて紫は謙遜せずにそう答えた。
自分は幻想郷を築き上げた大妖怪であり、その事は誇りなのだ。だから自分は胸を張って威厳溢れる振る舞いをしなくてはいけない、それが紫の心意気なのである。
故に、この人間の子が何やら新たに仕掛けてきそうであるが、自分は臆さずに迎え打つ、ただそれだけをすればいいと心構えをした。
そして、勇美は続けてこう言う。
「そっちが一度に二つの事が出来るなら、こっちもそれをするまでですよ♪」
「あなたも?」
その言葉に紫は首を傾げた。
自分が一度に二種類の攻撃を仕掛けられるのは他でもない、この境界を操る能力があるからこそ出来る事であり、それに対して紫は誇りを持っていた。
それを今、目の前の相手は自分もやってみせると言ってのけたのである。
これには紫は少々の憤りと、確かな期待をしてしまうのだ。さて、この子はこれからどう出てくれるというのか。
紫がそう想いを馳せていると、勇美は懐から一つの玉のようなものを出したのである。
そして、それは淡く緑色の液体が中に入っているかのような輝き方を見せている。
一体何だか分からない代物である。故にさすがの紫も持ち主である勇美に聞いてしまう。
「勇美さん……それは何かしら?」
自分らしくもない素直な言い草だなと紫は思いつつも、勇美が出す答えに期待をするのであった。
「うん、これは『アバドンズジェネレーター』ですよ。友達から貰った大切な物なんですよ♪」
「そう……」
期待した自分がいけなかったのか。全く要点を得ない勇美の言葉に、紫は頭を抱えるしかなかった。
だが、その勇美の嬉しそうに語る様には紫も微笑ましい心持ちとなるのだった。特に、友達から貰った大切な物というフレーズに……。
そこまで想った紫は少し目頭が熱くなるかのような気持ちになってしまうが、それを彼女は軽く首を振って意識から祓ったのである。
そう、今はこの子との勝負に集中するまで。紫はそのように心に決めたのであった。
一方で勇美は一旦『マックス』を火器の状態から解除し、神の力が備わっていない元の機械仕掛けの小動物の形態に戻したのだ。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ