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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第72話 高みへの挑戦:1/3
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れば守りを固めるしかない。勇美は意を決して次なるスペル宣言をする。
「【装甲「シールドパンツァー」】!」
 これまで主である勇美を幾度となく守ってきた、防御専門の装甲戦車がここに顕現したのである。
 それにより、紫の放った妖気の弾はいとも簡単にその鋼鉄の盾に阻まれていった。
「?」
 だが、勇美はここで違和感に気付いたようだ。
 確かに迫り来る弾はこの盾で抜かりなく防いでいる。しかし、それはあくまでも『向かって来た弾』だけなのであった。
 勇美の目の前には、未だにこちらに到達しない弾の群れが存在しているのだった。そして彼女は気付く。
 ──それらの妖気の弾速が遅いのだと。それならば未だに到達していないのにも納得がいく。
 だが、それだけだと説明がつかないのだ。先程から散々盾に打ち付けられてきた弾は何なのかと。
 その答えは次の紫の行動により判明するのだった。彼女は右手を振り上げると、それをおもむろに勇美に向けたのだ。
 その行為に勇美は悪寒を感じた。彼女の経験がこれから起こる事の恐ろしさを告げているのだった。
「それではもう一発どうぞ〜」
 そう言いながら紫は右手から妖気の弾を追加で放出したのである。
 今彼女が放ったのは、紛れもなく先程まで盾で防いできた速度の速い弾であったのだ。
「こっちのは速い! でも」
 そう言いながら勇美は臆する事なく盾をその弾へと向け、的確に防いでいく。
「あっ、まずい……」
 だが、勇美はここで事に気付いてしまったようだ。彼女が盾で高速の弾を防いでいる間にも、残っていた低速の弾がじりじりと距離を詰めて来た事に。
「ビンゴ……っと♪」
 そう紫は得意気に言ってのけた。一方で勇美は高速弾を防ぐのが手一杯な所に低速弾を受けてしまい、バランスを崩してしまう。
「くうっ……」
 思わず呻く勇美。だが、それだけならこれまで鍛えられてきた彼女なら立て直しが出来たかも知れない。
 だが、紫の目論みはその先を行っていたようである。彼女は口角を嫌らしく上げながらそれを見ていた。
 そのからくりは、勇美が今防いだ低速弾は高速弾よりも『重み』があったのだ。同じ威力だと思われていた所に、それを上回る破壊力で攻められては判断が追い付かなくなるというものだろう。
 その好機を紫は見逃しはしなかった。彼女はバランスを崩してよろめいている勇美目掛けて容赦なく再び高速弾を撃ち込んだのだった。
「うわあっ……!!」
 勇美は思わず叫び声を上げながら、装甲もろともその場から宙へと吹き飛ばされてしまったのだ。そして、彼女は強かに床に体を打ち付けてしまったのだった。
「うぅ……」
 勇美は唸りながら体を起こそうとするが、そこで首を傾げてしまった。
 ──体が余り痛くないのだ。先程床にぶつかってしまったにも関わらず
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