第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第72話 高みへの挑戦:1/3
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ってもね」
「あっ……」
その紫の言葉を聞いて勇美は唖然としてしまった。
そうなのであった。紫は今使ったのが最初のスペルカードなのであった。つまりまだ序の口も序の口という事である。
厳密には二枚使ってはいるが、二枚目はあくまで補助的な代物なのであった。
対して勇美はこの紫のスペルを攻略する為に三枚もスペルを使用しているのだ。
その事から、現状では勇美の方が分が悪い事は一目瞭然なのである。
その事実を受けて勇美はうつ向いていた。
「あらあら、落ち込んでしまいましたか?」
そんな勇美を見ながら紫はのほほんとしながらも辛辣な発言をする。
さすがにこの子に自分の実力の片鱗を最初から見せ過ぎたか。そう思いながら紫は密かに心の内で反省するのだった。
だが、そんな紫のなけなしの配慮は無用に終わる事となる。
「いやあー、やっぱり紫さんは凄いですね♪」
「はぇっ!?」
予想していなかった勇美の返答に、さすがの紫もたじたじになってしまった。
そんな対応をされたものだから、紫は思わず聞き返してしまったのである。
「……あなた、落ち込んでいたんじゃないの?」
その紫の彼女らしくない配慮の言葉に対して、勇美はあっけらかんとして答え始める。
「いえ、紫さんの事だからこれくらいやってくれていいでしょう。ラスボス戦はこうでなくっちゃね♪」
「ラスボスってね……」
その勇美の『メタ』染みた発言には、さすがの紫もたじたじになるしかなかったのだった。
この流れはだんだん勇美に向いて来ているなと紫は思う。しかし、そこは大妖怪たる彼女。そう易々とは事を運ばせる気はなかったのである。
「勇美さん、その勢いを次からも続けられますかね〜♪」
いつもの飄々とした態度で、紫はそう挑発的に勇美に言った。
「!」
その紫の様相を見て、思わず勇美は戦慄めいたものを覚えてしまう。彼女の今までの経験が、紫は本気である事を告げるのだった。
「では、少し先に参りましょうか?」
紫はそう言いながら優雅に一礼すると、今よりもやや勇美と距離を取ったのだ。やはり、彼女は近接戦よりも遠距離から攻めるのが得意のようだ。
そして、紫は一頻り十分な距離を取ると、再びその両手に妖力を溜め始めたのである。だが。
「?」
勇美は違和感に気付いたようだ。紫が両手に集めた妖力が互い違いに別の性質になっている事に。
だが、それが何であろうとも、勇美は立ち向かわねばならない事に変わりはないのである。故に彼女は身構える事に全神経を集中させるのだった。
勇美がそうしている中で、とうとう紫のスペル宣言が行われる。
「【結界「動と静の均衡」】……」
その宣言により、紫の両手から妖気の弾が放出されていったのだ。そして次々に勇美へと差し迫る。
こうな
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