第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第72話 高みへの挑戦:1/3
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く。
そう、この撃ち合いは勇美に軍配が上がったのだった。彼女は紫の猛攻の指令を僅差で押し退けたのである。
その好機をみすみす見逃すような人物では、今の勇美はなかったのだった。
「いっけえええーーーっ!!」
そう吠えるようにする勇美に応えるかのように、機関銃による星の弾丸の連射はますます勢いを増していった。
星々の弾丸は巨蝶の放つ妖弾を破壊するよりも勢いが増していき、遂には巨蝶本体へと行き着いたのである。
そして、容赦なく蝶は機関銃の弾の餌食となっていった。次々に蝶の体に風穴が刻まれていく。
これが本物の生き物なら勇美は引け目を感じていた所であろう。だが、実際は妖力で形成されたエネルギーの塊なのだ。故に勇美が気後れする事はなかったのだった。
尚も巨蝶は貫かれて穴という穴を体中に開けられ、その度に埃かぶった物置きを開けた時のように煙が舞い散る。
その行為が続けられていった事で、最早それは蝶の原型を留めていない残骸となっていたのだ。そこで勇美は「今しかない」と弾かれるように思った。
あの蝶は妖力で作り出したもの。だから撃ち貫いても紫の合図一つで再びその体躯を元に戻すだろう。
だが、それをさせる気はない。そう思いながら勇美は口角を上げる。
このタイミングで勇美は新たなるスペルの宣言を行ったのである。
「【空符「倒し難き者の竜巻」】!」
気付けば勇美の手に持たれていた機関銃は、巨大な送風機へと変貌を遂げていたのだった。そして、さも当然と言わんばかりにそれはファンを回し始める。
そして、一気に送風は行われたのである。それによりものの見事に蝶だった残骸は無惨にも飲み込まれてしまったのである。
最早、展開は見えていた事である。その残骸は強風に耐えられる事なく吹き飛ばされていったのだ。
残骸は容赦なく砕け散りながら次々と風の奔流に飲まれていった。だが、最後まで勇美は気を抜かない。
「何度でも、何度でも吹き飛ばせぇーーーっ!!」
その勇美の意気込みに応えるかのように風の力は強くなり、それにより敵の体もみるみるうちに削り取られていったのだった。
そして、気付けば巨体を誇った蝶は見る影もなく綺麗さっぱり吹き飛ばされていたのである。加えて、あの蒸せかえるような妖力もすっかりなりを潜めていたのだ。
「これで、よし……かな? マッくん、お疲れ様♪」
そう勇美は自分の相棒に呼び掛けると、彼はそれに応える形で送風を止めたのだ。そして、今までの激しい嵐は嘘のように止み、静けさが辺りを支配したのである。
「紫さん、どんなもんですか?」
紫の難解な弾幕演出を攻略した勇美は得意気にそう言ってのける。
そんな勇美に対して、紫は柔らかくも妖艶な雰囲気で微笑みながら言う。
「ええ、見事でしたよ──私の最初の弾幕であ
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