第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第72話 高みへの挑戦:1/3
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そう思いながら勇美の成長は本物である事を実感していた。
「ええ、紫さんがこんな優しい弾幕を張る訳がありませんからね。しかも、分かりましたよ、蝶を撃ち落とす度に妖力がばら蒔かれるのを」
そう得意気に言う勇美に対して、紫はうっとりとした表情で勇美を見据えた。その様は、やっぱりこの子、やるわねと言わんばかりであった。
「そこまで分かっているなら、もう隠す必要はありませんわね」
そう言って紫はパチンと指を鳴らしたのだ。その瞬間、『来る』と勇美は確信した。
そして、勇美が身構えると同時位に辺りの空気が一変したのだ。
熱は存在しないが、日本の炎天下の夏のように鼻から胸に掛けて纏わりつき押し潰すかのような不快な空気が周囲を包んだのである。
その嫌な空気に耐えながら勇美が目を見張っている先に、みるみる内に『何か』が集まっていった。
それは蝶の形であった。それだけなら元々の姿に戻ったと言えるだろう。
しかし、問題なのはその大きさであった。優に全長3メートルは越えているようである。
「……大きくなってる……」
呆気に取られながら、勇美はそう呟くしかなかった。それだけ新生したその蝶の姿は圧巻の一言であったからだ。
そんな勇美の様子を、紫は満足気に見据えてながら言った。
「変わったのは大きさだけではありませんよ。……妖蝶ちゃん、お願いね♪」
そう紫が巨蝶に対して目配せすると、それに応えるようにバサッと勇ましく羽ばたきをして見せたのだ。
ゴクッ。勇美は思わず唾を飲む。その一動作だけで圧倒されてしまいそうになった。
さすがは大妖怪の繰り出すスペルカードとでも言おうか。勇美は瞬く間に緊張に包まれるのだった。
それなら……と勇美は思う。こちらもその心意気に応えなくてはならないだろう。そう心に決め、勇美は次なる手に出るのだった。
勇美は今力を借りている天津甕星に加え、新たに金山彦命の力を加え宣言する。
「【星蒔「クェーサースプラッシュ」】!」
その宣言に対して紫も応戦するような形でスペル宣言を合わせる。
「お願いね。【鱗粉「妖蝶の妖しき羽ばたき」】」
そう言うと巨蝶はその指令を受け、その雄大な羽をバサバサと豪快に羽ばたかせ始めたのだ。
すると、そこから紫色のもやを凝縮させたようなエネルギー弾が次々と放出されていった。
図体が大きい分、その迫力もひとしおであった。だが、勇美はそれに怯まずに勇敢に迎え打ったのだ。
「撃ち抜け、星々の機関銃!」
言いながら勇美はマシンガン状となった自らの武器を力強く構えた。そして、迷う事なく引き金を引く。
すると、機関銃の銃口から次々と星のエネルギーがばら蒔かれていったのだ。
そして、それは妖蝶が放った鱗粉の弾丸にぶつかっていく。それにより鱗粉は盛大に粉砕されてい
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