第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第72話 高みへの挑戦:1/3
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てもらいますわ」
「はい、どうぞ」
その言葉に勇美は承諾する。
「勇美さん、あなたは今まで後手に回る方が力を発揮出来たでしょう、なら私もあなたのやりやすい土俵で戦わないといけませんと思いましてね」
「……」
その言葉に勇美は暫し無言となって考えた。
……良く言えば尊重されているが、悪く言えば嘗められているとも言えるだろう。
だが、それも相手は大妖怪、それも幻想郷の管理者という大物がなす事である。それ位の振る舞いをする権利というものがあるだろう。
ましてや勇美は依姫の神降ろしの力を借りてのし上がってきたが、まだまだ幻想郷の住人としては新参者なのだ。悪い言い方、これ位の扱われ方の方が性に合っているというものである。
勇美がそう思っている間にも紫は戦うために適度な距離を置き、それに勇美もならう形をとる。
そして、遂に紫の第一波が放たれる事となったのである。紫は両手を脇に広げるとスペルの宣言をした。
「【罔両「禅寺に棲む妖蝶」】」
それにより紫の両手に妖気がもやのように集まると、そこから羽ばたくようにそれが放出されたのだ。
──見た目はかつて依姫と戦った幽々子が放った反魂蝶に似ているだろうか。だが、色は主のイメージカラーと同じ、禍々しい紫色であるが。
その不気味な様相に勇美は惑わされなかった。何故ならその軌道も反魂蝶と似ていたからである。
それならば、落ち着いて対処すればいいのみである。勇美はそう思い、いつも通りにスペルを宣言する。
「【星弾「プレアデスブレット」】」
その宣言後、常時通りに勇美の右手には星の力の銃が握られる。そして、勇美は目の前の迫り来る敵の群れに視線を向ける。
やはり、動きは反魂蝶と似たようなものである。そう思いながら彼女は引き金を引くのだった。
それによりまず紫色の蝶の一匹が星の弾丸に射抜かれたのだ。エネルギーで出来た蝶故に死骸となる事はなく、その場で紫色の煙を撒き散らして消滅した。
「続いて二匹目!」
相手の軌道を読み、勢いが付いて来た勇美は更に引き金を引く。それにより再び紫蝶の一匹は粉々に吹き飛んだのだ。
──コツは掴んできたようだ。勇美は勢いに乗って次々に妖力の蝶を打ち落としていったのである。瞬く間に煙となって撃ち抜かれていく蝶の群れ。
一頻りそうした事で勇美は蝶の群れを全滅させる事に成功したのだ。そして彼女はふっと一息つく。
少し疲れたから暫し休みたい気持ちとなる勇美。そんな考えを振り切るように彼女は口を開いた。
「さて紫さん。道化はここまでにしませんか?」
「あら、気付いていましたか?」
この場に『これで終わり』だと思っている者は一人もいなかったのである。そう、依姫もその一人であった。
(驚いたわね勇美、貴方が『それ』を見破るなんてね……)
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