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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
恋愛-しゅぎょう-
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彼に、それが出来る余裕なんてあるわけない。
稽古の疲れもある。
それに、もし魔物と遭遇したら?
重い荷物を持ったままでは満足に戦えないだろうし
けど
「ないけど…託されたからにはやらないと。」
彼は言っても聞かない頑固な人間なのは知ってる。
それに、人助けをする性分なのもだ。
でなければあの時、自分の命を顧みずデーモンから女性を守ったりしない。
「…わかった。」
だから私は、渋々了承した。
「でもそんな大荷物…大和くん一人で持てるの?」
「…だ、大丈夫…!」
積荷を一纏めにし、背負う。
踏ん張ると足にこの前のような赤い閃光が迸り、大和くんは難なく背負ってみせた。
「うん…大丈夫だ…今の俺なら、これくらい重くない…!」
身体中痛いだろうに、疲れ切っているだろうに、
彼は託されたからという理由だけでこうしている。
こんな世界になってしまった今、他人を助けてやれる余裕なんてないのに。
?
それから
野晒しでは良くないと死んでしまった男を埋葬し、木の棒を立て花を添えただけの簡素な墓をたてた。
地図によればここから北に10キロ。
赤い丸で囲ってあるそこにこの荷物を届ければいいんだろう。
中身を確認してみると食べ物、そして薬や包帯などの医療道具。
きっとあの男は…これを届けるために無茶して…。
「その…大和くん?」
「なに…?」
しばらく歩いていると武蔵ちゃんが心配そうに話しかけてくる。
「少しくらい…持ちましょうか?」
「ううん…大丈夫。代わりにそれだけ持ってくれればいいんだ。」
荷物を持たせることはしない。一応師匠なんだし。
けど今はとりあえず竹刀袋を持ってもらってる。
中身は勿論、あの時の紅い刀だ。
「それにこれも…修行の一環だと思えばさ…!!」
踏ん張る度、足にばちばちと紅い雷が走る。
そうすると荷物が軽くなった気がして、まだ頑張れる。
頑張れ俺…託されたからには…やらないと。
「…!!」
草むらからガサガサという音がし、咄嗟に顔を上げ身構える。
そこから顔を出したのは真っ黒な体毛に2本の牙
間違いない……魔猪だ。
「っ!」
荷物に姿勢を崩されながら後ずさる。
魔猪の狙いは…俺の背中の荷物。
積まれているものが食べ物だと理解すると、即座に草むらから出てきて俺に狙いを定めた。
1匹だけじゃない。
2匹、3匹…
計5匹の魔猪がやってきた。
「武蔵ちゃん…刀を!」
これは俺が引き受けたこと。
だから荷物も自分が守らなきゃならない。
うしろにいる武蔵ちゃんに手を伸ばし、刀を渡してもらおうとしたが…
「え…。」
刀は渡されなかった。
その代わり、
「!」
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