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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
恋愛-しゅぎょう-
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くんはさ…。」
「いや、待って。」

何か話そうとした時、大和くんが待ったをかけた。

「どうしたの?」
「なにか聞こえる…こっちだ!」

聴力も強化されていたのだろうか、何かを聞き取った大和くんはどこかへと走り出す。
私も後を追いかけてみればそこには

「これは…!!」

横転したスクーター
過積載された荷物。
そして、傍らには血を流して倒れている運転手の姿。

「う…うう…。」
「大丈夫ですか!?しっかりしてください!!」

呻き声を上げているということはまだ生きている。
おそらく大和くんはこの声を聞き取ったんだろう。

近くに魔物の気配はない。
とすると…これは事故か。

「大丈夫ですか!?」
「こ…この荷物を…!」

ヘルメットを被った若い男性はスクーターに積まれた荷物を指差す。

「北の…集落に…!」
「北の!?そんなことより怪我を…!」

頭から血を流している。
おそらく骨折もしているだろう。
私達に助けられるレベルではない。
それに

「届けて…欲しい…たの、む…!」

助けに来るのが遅すぎた。
もう少し早ければ、応急処置なりなんなり施して生きながらえたのかもしれない。

「そんな…。」
「多分荷物を積みすぎて事故しちゃったんでしょうね。道もだいぶ荒れてるし…。」

上を見る。
ガードレールは壊れ、そのまま下に落下しただろう。
おそらく道路だってロクに整備されてないはずだ。
そんな中、限界まで荷物を積んで荒れた道を走ってみろ。
こうなることは目に見えていたはずなのに。

「それと…これを…!」
「…?」

大和くんが紙を渡される。

この辺りの地図であろうものと、封筒…おそらくは手紙だろう。

「渚に…たのんだ…!」

そういい、男はがくりと頭を垂れて事切れた。

「…。」

大和くんは黙って地図を広げる。

この辺りであろう場所、そこから北へと進んだところが赤い丸で囲ってある。
これが目的地ということなのだろう。

「…武蔵ちゃん…。」
「まさか…運ぶとか言い出すんじゃないわよね?」

大和くんは立ち上がってこちらに向き直る。
その目には、信念が宿っているのが分かった。
こんな世界だ。他人に構ってやれるほどの余裕なんてないし優しくもない。
ましてや死人の頼みを引き受けるなんて

「ああ…運ぶよ。」
「…本気?」

そうして大和くんは積荷を確認していく。

「でも大和くん…!」
「大丈夫…今の俺ならこれくらい持てるから。」
「そういう問題じゃなくて!!」

人を助ける。
それはいいかもしれない。
しかし彼は死人だ。それに

「余裕なんてないでしょ…大和くん。」

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