第109話
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郷の徘徊を再開したリィンは実家にある厨房で意外な光景を目にすると立ち止まった。
〜シュバルツァー家・厨房〜
「……できましたわ。”渾身カントリーシチュー”ですわ。どうぞご賞味あれ。」
「ふふ、それでは遠慮なく…………まあ……こんな味は初めてですね……勿論美味しいですよ。」
「……ええ、しかも私が普段リフィアに出す料理―――皇族クラスに出してもおかしくないレベルです。本来ブイヤベースに使う食材でシチューを作るなんて、思いもしませんでした。」
デュバリィが作った料理を味見したルシア夫人は驚いた後微笑み、同じように味見をしたエリゼは驚きの表情でデュバリィを見つめ
「まさか”神速”にこんな意外すぎる”女子力”があったなんて、正直驚きました。」
「うふふ、いずれシュバルツァー家の方々をお世話する”使用人”としてデュバリィさんの料理の腕前を見習わなければなりませんわね♪」
「私も一人の女性として、デュバリィさんをもっと見習わないと……!」
「あ、味見くらいで大げさですわね。――――――というか、”黒兎”!貴女のその口ぶりから察するに、さては私の事を剣一辺倒の女として見ていましたわね!?」
ルシア夫人やエリゼに続くようにそれぞれ味見をして高評価するアルティナ、アルフィン、エリスの感想を聞いて恥ずかしがっていたデュバリィだったがある事に気づくとアルティナを睨んだ。
「ハハ……どうやらその様子だと、みんなで今日の夕食の準備をしているようだけど……どうしてデュバリィさんまで、手伝ってくれているんだ?」
「男爵夫妻がわざわざ私達の為に”鳳翼館”を貸し切りにした上、夕食の為に男爵夫妻自らがそれぞれ準備をしているとの事ですから、一宿一飯の恩義を返す為に手伝っているのですわ。……それに、内戦時のカイエン公達による二度目のユミル襲撃で男爵夫妻もそうですがユミルの方々にも迷惑をかけたのですから、せめてもの”詫び”でもありますわ。」
「デュバリィさん……」
「…………………」
苦笑しながら近づいてきたリィンの質問に答えたデュバリィはかつての出来事を思い返して僅かに複雑そうな表情を浮かべて答え、その様子をエリスは心配そうな表情で、アルティナは辛そうな表情で見守っていた。
「……その件については主人がアルティナさんにも言ったように、命令に従っただけの貴女達を責めるつもりはありませんし、むしろ私達は”現代の鉄騎隊”の一人である貴女が今回の戦争では息子達に力を貸し、更にはエリスの”師”を務めてくれていることに心から感謝していますので、どうかあまりご自分を責めないでください。」
「寛大なお心遣い、ありがとうございます。」
ルシア夫人の気遣いに対し
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