第109話
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風呂は導力技術を取り入れた関係で軍に配備されるようになったのも最近だという話だが……そうですよね、フェルディナント先輩?」
「ああ。導力技術が無かったディル=リフィーナの平民達にとって”風呂”は一種の娯楽のようなもので、その”風呂”にしても”蒸し風呂”が一般的で、湯を貯めた風呂は平民や下級貴族にとっては到底手が出せない高価な娯楽だったのさ。」
「しかし、導力技術を取り入れたことで水を貯めて湯にわかせることが安くかつ簡単になった事で、メンフィル帝国全土の民達にとって湯を貯めた風呂は”一般家庭にあって当然の存在”へと発展し、それらの事実によって軍の施設にも湯を貯めた風呂が完備されるようになったのさ。」
クルトの指摘に答えたリィンに確認されたフェルディナントは頷いて答え、フェルディナントの説明をローレンツが補足して答えた。
「技術や文化が違うとそこまで違ってくるのですか………」
「そうだな……導力技術の導入は風呂に限らず、メンフィルが様々な恩恵を得る事になったとは言っても過言ではないな。」
「ああ……特に”軍”が一番恩恵を受けているだろうな。適正の違いがあるとはいえ、魔術の適性がなくても誰でも魔術の代わりになる魔法が撃てるようになる戦術オーブメント……そして”銃”や”戦車”を始めとした導力技術を使った武器や兵器の導入はメンフィル軍の戦力をさらに強化させただろうな。」
「―――そこに加えてメンフィルがかつては”大陸最強”と呼ばれていたエレボニアを遥かに上回り続けている理由の一つは近代兵器を取り入れたにも関わらず、一般兵達の白兵戦の戦闘能力の高さも保っている事だろう。ゼムリア大陸の各国は導力技術による近代兵器の運用によって、一般兵の戦闘能力は導力銃頼りになっている傾向があるからな。――――――実際、3年前の”リベールの異変”がいい例だ。」
フェルディナントとローレンツの話を聞いて驚いているクルトにディミトリとクロードはそれぞれ説明を続け、二人の説明の後にレーヴェは静かな表情で呟いてかつての出来事を思い返した。
「3年前の”リベールの異変”で思い出しましたが、兄上やオリヴァルト殿下からレオンハルト大佐は当時結社の”執行者”として何度かオリヴァルト殿下達と刃を交えた事も聞いていますが……オリヴァルト殿下のあの話はどこまでが”真実”なのでしょうか?」
「……その口ぶりだと、あの放蕩皇子は俺の事をさぞ面白おかしくお前に伝えていたようだな……俺に関して一体どのような戯言をお前に吹き込んだんだ、あの放蕩皇子は。」
ある事を思い出したクルトに問いかけられたレーヴェは呆れた表情で溜息を吐いた後クルトに問い返した。
「その……レオンハルト大佐が改心し、最後はオリヴァルト殿下やリベールの
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