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レーヴァティン
第百七十九話 渡河その十二

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「あの国は」
「百年戦争でもだったよな」
「長弓隊に敗れましたが」
 クレーシーの戦い等でだ、フランス軍は百年戦争はジャンヌ=ダルク登場までは負けてばかりだった。
「しかしです」
「騎兵隊もよかったんだな」
「そうでした、ですが」
「戦争が続いて人も何時も乗せていてか」
「はい」
 それでというのだ。
「馬がいなくなりました」
「そうなるからだな」
「馬もです」
「粗末にしたらいけないな」
「左様です」
「何でも粗末にするとだ」
 ここで正も言ってきた。
「後でしっぺ返しを食らう」
「そうなるな」
「だからだ」
「お前もそう言うんだな」
「ああ、馬も何でもだ」
「粗末にしないことだな」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そうあることだ」
「やっぱりそうだよな」
「いざという時にものがないとな」
「負けるな」
「そうなる」
 だからだというのだ。
「馬もそれは同じだ」
「粗末にすると絶対に駄目だな」
「勿論人間もな」
「というか何でも誰でもか」
「粗末にしないことだ」
 そうなるというのだ。
「命がないとされているものでもな」
「だから俺の考えは正しいか」
「非常にな。しかしだ」
「しかし?」
「ケチはな」
 これはというと。
「過ぎるとな」
「よくないか」
「ああ、ドケチもいるだろ」
「世の中にはな」
「見ていて気持ちがよくないな」
「あまり酷いとな」
「だからだ」
 それでというのだ。
「何でも大事にすることはいいが」
「ドケチにはならないことか」
「それも大事か」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「出し惜しみをするとそれはそれでな」
「しくじるな」
「そこはわかっておくことだ」
「そうだな、それじゃあな」
「何でも大事にしてな」
「ケチにならないでな」
「やっていくぞ」
「そうだな、だから軍資金は今回もかなり使ってるが」
 それはというと。
「悪くないか」
「それはいい、お陰で馬が集まった」
「ああ、じゃあその馬達を大事にしてな」
「そういうことでな」
「やっていくな」
 こう話してそうしてだった。
 正は窓から下にいる馬達を見た、そうしてまた言った。
「いい馬が集まった、実にな」
「それならだな」
「この馬達を使って戦っていくぞ」
「それじゃあな」
 こう話してそうしてだった。
 仲間達に今度は日を見てその高さから飯だと言った、そうしてそのうえで全員で昼食を採って次の動きに向かった。


第百七十九話   完


                  2020・9・23
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