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レーヴァティン
第百七十九話 渡河その七

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「それでもな」
「安いものね」
「街一つ手に入るんならな」
 それならというのだ。
「安いもんだろ」
「そういうことね」
「別にいいさ、ただな」
 ここで久志はこうも言った。
「その領主金に汚いんだよな」
「そこが欠点よ」
「けれど民から搾取したりしないんだな」
「税はむしろ低いわよ」
「搾取しないんだな」
「民のものは民のものって考えの人で領地を豊かにすることが大好きでね」
 それでというのだ。
「そうしたことは一切しないのよ」
「筋は通ってるんだな」
「ただ。自分の財産を増やすことは好きなのよ」
「それで金それだけ要求してきたんだな」
「本人さん曰く搾取はしなくて賄賂も取らないけれどね」
「それでもか」
「財産を増やすことは好きで」
 清音は久志に領主のことをさらに話した。
「領主さんだけの事業もしていてね」
「金も手に入れるんだな」
「そうよ、あとその事業で働いている人達にも金払いはいいわよ」
「中々出来た領主だな」
「だからお金に汚いだけでね」
「他はいいんだな」
「そうよ、それでお金を払ったから」
 だからだというのだ。
「もう問題ないわよ」
「それは何よりだな」
「そうでしょ、じゃあね」
「街に入ってな」
「拠点にしていくわね」
「ああ、それとな」
 久志はさらに話した。
「物資をどんどん買うな」
「ああ、お金はあるしな」
 ここでだ、美奈代は笑って話した。
「どんどん買うか」
「用意出来るもんは用意したけどな」
「これから買わなあかんもんもあるしな」
「そうしたものはな」
 まさにというのだ。
「これから買うな」
「その為に金用意してきたしな」
「使っていこうな」
「そっちは頼むぜ」
「任せるんや、揃えるもんは全部揃えるで」
「ああ、むしろな」
 久志は美奈代に笑って話した。
「敵が必要なものを買い占める位でな」
「やってくな」
「例えば飯とか馬の餌とかな」
 即ちまぐさをというのだ。
「鎧や馬具、武器までな」
「買い占めるか」
「そうした勢いでやってくか」
「ええな、秀吉さんみたいにやな」
「出来るだけな、ただあの人みたいに買い占めはな」
「流石にそこまでのお金はないわ」
「ああ、だから出来るだけな」 
 そこはというのだ。
「そういうことでな」
「わかったわ、相手を物資不足にすることやな」
「それを狙ってくれよ」
「ほなな」
「特に馬だな」
 久志は眼を鋭くさせて言った。
「やっぱり騎兵隊が多いからな」
「相手の主戦力を奪う意味でやな」
「それでな」
 まさにというのだ。
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