第百十二話 はったりその二
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「わしを。伊達家をからかったか」
「それで、ですな」
「一旦はこの米沢に来ましたが」
「芦名家に戻ったのですな」
「そうであるな、ならじゃ」
自分に、つまり伊達家に従わぬならというのだ。
「戦じゃ」
「では出陣ですな」
「今より」
「鉄砲騎馬隊を連れて行く」
切り札である彼等をというのだ。
「あの者達もな」
「そうしてですな」
「相馬家との戦の様に攻めてじゃ」
そうしてというのだ。
「勝つぞ、そしてな」
「そしてといいますと」
「一つはったりを言おうと思う」
「はったりですか」
「それも考えておる」
こう小次郎に話した。
「この度はな」
「そうしますか」
「叔父上に対してな」
「即ち最上家に」
「そうしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「叔父上を牽制する」
「そうしますか」
「そしてな」
「勝ちますな」
「その様にする、そのはったりはわしが行う」
政宗自身がというのだ。
「そこは任せてもらう」
「そうですか、では」
「これより出陣する」
こう言ってだった。
政宗は片倉と成実そして小次郎の三人を主な将として線の軍勢を率いて大内家の領地に向かった。そうしてだった。
迎え撃ちに来た大内家の軍勢を長槍と鉄砲騎馬で退けてから三人に話した。
「では小手森の城に向かう」
「大内殿がおられますな」
すぐに片倉が言ってきた。
「あの城には」
「今はな」
「その城を攻めますか」
「そうする、鉄砲を使ってな」
そうしてというのだ。
「一気に攻め落とすぞ」
「城攻めに鉄砲を使いますか」
「うむ、織田殿の攻め方じゃ」
信長のそれをここでも使うというのだ。
「そうする」
「そうですか、織田殿ですか」
「織田殿の戦と政は調べれば調べる程見事じゃ」
やがて倒そうと思う彼のことをほめて言うのだった。
「その鉄砲の使い方もな」
「城攻めにおいてですか」
「見事でな」
それでというのだ。
「わしとしてはな」
「織田殿の様に戦い」
「攻め落とす」
「そうされますか」
「ではこれよりな」
「尻を囲み」
「そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「攻め落とすぞ、そしてじゃ」
「はったりですか」
小次郎も言ってきた。
「攻め落としてから」
「そしてじゃ」
「はったりを言われる」
「その様にする、では攻めるぞ」
「わかり申した」
「攻めの先陣はお主じゃ」
政宗は今度は成実に話した。
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