第百十二話 はったりその一
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第百十二話 はったり
政宗は国人達を次々と迎え入れていた、彼の武勇を見て多くの者達が伊達家になびいてきていた。だが。
その中で彼は片倉達に語っていた。
「さて、今一番動きが気になるのはな」
「小浜城の大内家ですな」
「左様、あの家じゃ」
片倉に対してすぐに答えた。
「あの家がどうかじゃ」
「それが一番の問題ですな」
「今はな」
見えぬ右目は眼帯をしている、左目を光らせて述べた。
「何といっても」
「だからですな」
「あの家が従うならよし」
それならというのだ。
「しかしな」
「従わぬならですな」
「その時はな」
「攻めまするな」
「そうする、戦の用意は常にしておる」
これも政宗のやり方だ、信長のやり方を見て百姓を戦に駆り出さずその次男や三男で命知らずの者達を兵にして戦っているのだ。
それでだ、政宗は何時でも戦えて言うのだ。
「だからな」
「それでは」
「大内家は当家に従うこともあれば」
父の輝宗の頃のことである。
「芦名家に従うこともある」
「強い家に従っておりまする」
成実も言ってきた。
「それで、です」
「今は芦名家についておるな」
「それでこれからどうか」
「当家に従えばよいが」
それでもというのだ。
「しかしな」
「これからもですな」
「芦名家に従うなら」
それならというのだ。
「攻める」
「そうしますな」
「容赦なくな、さてその大内家がどう出るか」
政宗は服の袖の中で腕を組んで述べた。
「それ次第でな」
「戦ですな」
「それに入る、用意はしておく」
「さすれば」
「わしが出陣する」
その時はというのだ。
「お主達もそのつもりでな」
「はい、攻めまする」
「そして小次郎」
政宗は小次郎にも声をかけた。
「若し出陣となれば留守は父上がして頂く」
「ではそれがしは」
「初陣じゃ」
それになるというのだ。
「だからな」
「それで、ですな」
「そうじゃ」
だからだというのだ。
「その時はわしと共に出るのじゃ」
「有り難きお言葉、それでは」
「その様にな」
「させて頂きます」
「用意をしておれ」
こう言ってだった、政宗はまずは大内家が来るのを待った。そして大内家の主である大内定綱は米沢に来てだった。
そうして政宗に頭を垂れた、だが。
領地に戻るとすぐに芦名家に人をやった、政宗はそれを知って言った。
「言うまでもない」
「はい、大内とのは一旦こちらに来ましたが」
「それでもですな」
「考えが変わったか」
若しくはというのだ。
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