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宇宙戦艦ヤマト2199〜From Strike Witches〜
出航編
第6話 氷漬く鋼鉄の屍
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とともにレーザー削岩機を使用しつつ、手際よくコスモナイトを採掘していく。
幸運なことに、こちらは既に採掘済みの備蓄も相当量放置されていたため、かなり順調に進んでいる。
ガミラスはどうして、こんな宝の山に手を付けなかったのだろうか?普通に考えれば、これ幸いと喜び勇んで持って行きそうなものだが。或いはガミラスにとってコスモナイトはそれ程重要な資源ではないのかもしれない。もしもガミラスの使用している宇宙機関が「大和」や「天城」の次元波動エンジンと全く異なる物であるのならば、それもあり得るが、この時点では推測に過ぎない。
敵の事情がどうあれ、地球側としては何のリスクもなくエンジン修理に必要な希少金属が得る事が出来るため、「大和」と「天城」の甲板部員は大急ぎでコスモナイト90の採掘と精錬済みの備蓄の積み込み作業を進めていく。
一方、97式空間輸送機〈コスモシーガル〉で救難信号発信地点に向かった森率いるメディック班からはまだ連絡がない。
コスモナイト90の採掘場と救難信号発信点はやや離れた位置にあり、シーガルで30分程かかる距離である。コスモナイト採掘が優先事項であるため、残念ながら艦を遭難船寄りに着けるわけにはいかなかったからである。
「古代達はそろそろか…」
操舵席に座る島が少しソワソワした様子で独り言を言っている。
時計を見ると、作業開始から既に一時間半が経過している。粗方捜索を終えている頃のはずなので、そろそろ報告が来るだろう。
「遭難者が気になるか?」
「勿論そうですよ。船乗りたるもの、仲間を見捨てないことが誇りですからね」
航路会議の際に、航海日程の短縮を優先して、冥王星を避けるように具申していたにも関わらず、救難信号受信を知るや、島は日程の遅れを厭わなくなった。
今も作業の進み具合よりも、遭難者の安否の方を気にしている。人命救助に対する信念がよほど強いのだろう。
「父の口癖みたいなものなんです」
「…島大吾少将だったな、航海長の親父さんは」
「はい。戦死した時、父は中佐でしたが」
「いいんだよ少将で。そうかぁ…」
島の父、島大吾少将(戦死後、二階級特進)は、8年前に太陽系に侵入してきたガミラス艦隊と初めての接触を試み、無念にも撃沈され、ガミラス戦役における戦没第一号となった巡洋艦「村雨」の艦長だった人物だ。
口髭の似合うその人物は、旧扶桑海軍で言う木村昌福のような人物で、指揮官として与えられた任務を全うしながら、部下を思いやり、戦争と言えども無駄な犠牲を避ける、人命と友好を第一とした温和な人格者として知られていた。
そんな人物が、初めての異星人との接触を担当し、地球人類の存亡をかけた終末戦争の最初の犠牲者となってしまったとは何という皮肉であろうか。
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