邂逅編
第7話 終戦、ロデニウス戦役
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「…降伏、したか…」
「偉大なるロウリア」号の船楼上で、シャークンはそう呟きながら、真上を見上げる。
艦隊上空には数機の〈SH-60K〉が飛び交い、日本艦隊から1週間遅れてポート・ハークに到着したロウリア艦隊を監視している。そして「偉大なるロウリア」号の傍に1隻の内火艇が停泊し、1人の海自自衛官が現れる。
「カルディア提督閣下でございますね?涌井司令が閣下をお呼びです」
「…うむ」
シャークンは2人の部下を引き連れて内火艇に乗り込み、「いぶき」へと向かう。
ロウリア海軍最大を誇った「偉大なるロウリア」号より4倍以上も大きな巨体を目の当たりにし、シャークン達は改めて自分達が何と戦っていたのかを思い知る。
そして「いぶき」に乗艦し、シャークン達は艦橋に案内される。そこには、涌井と秋津の姿があった。
「カルディア提督閣下ですね?日本国海上自衛隊の涌井啓治海将補です。こちらは、「いぶき」艦長の秋津です」
「ロウリア海軍提督のシャークン・ジン・カルディアです。敗軍の将に対し、この様な寛大な歓迎、感謝します」
「いえ…祖国のために戦った船乗りの事を蔑む者などおりませんよ。しかし、此度の戦争はどうにか1ヵ月程度で終わらせる事が出来ました。これで戦後の復興を迅速に行う事が出来るでしょう」
「そう、ですか…貴国は戦争を良くは思っていないのですね」
「ええ…我が国は過去、旧世界で何度も悲惨の一言では表せぬ程の戦争を受け続けていましたから」
涌井はそう言いながら、ポート・ハークの港湾部に目を向ける。同時にシャークンもその方向に目を向け、海軍基地の荒廃ぶりから、涌井の言動の真意を知る。
堅牢な海軍司令部は、ワイバーンの火炎弾を何千発も食らったかの様に黒く焼け焦げ、ドックもことごとくが崩壊している。ここまでの破壊を生み出すだけの力を持っているという事は、同等の力を持つ国々と戦っていた事でもあるという事だろう。そしてワイバーンを瞬殺出来る程の力を秘めた航空戦力を持っている事からも、その技術力の高さとそれを求める程の戦闘の苛烈さが窺い知れる。
「…アルダ殿下は、いずれこうなる事を知っておられたのだろうか…」
シャークンは小声でそう呟きながら、敗戦の事実を改めて直視するのだった。
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西暦2029年/中央暦1639年5月16日 日本国 東京都 首相官邸
首相官邸の会議室では、垂水達政府閣僚が、『ロデニウス戦役』と呼称した武力衝突の日本側代表団の代表を務めた外交官の吉田外相から報告を受けていた。
「講和会議の結果、ロウリア王国はクワ・トイネ公国に対し、一部領土の割譲と賠償金の支払いを行う事となり、国内に対しては、現国王の退位と軍
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