邂逅編
第7話 終戦、ロデニウス戦役
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には多数の監視塔があり、全方位に睨みを利かせている。さらにこの城塞都市は、見晴らしのいい平原地帯で、ロウリア王国の地理において、ハーク平原と呼ばれる場所の真ん中にあるため、奇襲が掛け辛い。まさに難攻不落の城である。
そのジン・ハークの東方4qの位置に、ロウリア王国一の工業都市、ビーズルが存在する。同市はロウリア王国軍の軍需物資の生産を一手に担っており、ここがもし陥落すれば、ロウリア王国軍の補給が立ち行かなくなってしまう。ロウリア軍にとって、とても重要な都市である。
さらにそのビーズルの北方2qの位置に、小さな町エールクが存在する。ロウリア王国東部のフンス平原に面した小さな町だが、ビーズルの目と鼻の先にある町だ。もしロウリア王国に敵が侵攻した場合、フンス平原を通ってこのエールクを抜け、ビーズルへと向かうだろうことが予想される。このためこの町は、ビーズル防衛の戦略上、重要な都市である。そして当然ながらここには、王都を守護するパタジン直轄の王国騎士団10万のうち半数の5万が配置されており、その防備は堅牢そのものであった。
しかし昨日、地理上絶対に攻め込まれる筈の無いポート・ハークが謎の軍勢に占領され、北部から直接ジン・ハークへ攻め込んできたという報告が、つい先ほどジン・ハークの王国軍総本部に寄せられた。その結果、不意を突かれたロウリア王国軍上層部は大混乱に陥った。
そもそも、敵が東部を大きく迂回してポート・ハークまで来ているという時点で緊急事態である。歩兵の歩く速度は、軽装だとだいたい時速3q、重装歩兵でもおよそ時速1q。これが何を意味するかというと、敵はその気になれば、夕方頃にはジン・ハークに到達し、1日以内にここを包囲する事が出来るという事でもある。
加えてこの時点で首都の喉笛にまで迫ってきている時点で、動員可能な兵力の8割以上を東方に振り分けているロウリア王国軍の対クワ・クイラ連合軍戦略が破綻しており、如何に主力が快進撃を続けていようが、首都を叩き潰された時点で戦争には負けたも当然である。
上空には十数機のヘリが飛び回り、王都に向けて大量のビラをばら撒く。それらにはロウリア王国の東部戦線での敗北と降伏の方法が書かれており、王都守備隊は大急ぎで回収するものの、少なからずの数が市民の目に入っており、市街地各所や、二番目の城壁の上には、数多くのシーツを使った白旗がたなびいていた。
「陛下、ここは降伏しかありません」
完全に劣勢の状況下に追い込まれた状況下、会議室でアルダの発したこの一言は、当然ながら多くの将兵を驚愕させ、そして憤怒させた。
「アルダ貴様、臆したのか!貴様はそれでも栄えあるロウリア王国の王族か!」
アルダの兄にあたるエルダー皇太子が声を荒げ、アルダを非難する。しかし会議参加者の殆どはエルダーの言葉に
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