邂逅編
第6話 エジェイ会戦
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軍の主力たる王国東部諸侯団のリーダー、マルク・ジン・ジューンフィルア伯爵は、そう呟きながら東の方角を睨む。
東部諸侯団の総戦力は歩兵6万に重装騎兵2万、騎兵1万に特化兵8千、その他各種特殊兵科に属する部隊を合わせて10万にも及ぶ大軍は、クワ・トイネ公国の貧弱な軍勢を容易く屠る事も可能な軍勢である様に思えた。
侵攻当初は防衛線を張り、第三文明圏でも有している国は限りなく少ないとされる銃や火砲でクワ・トイネ公国軍が抵抗してきたが、圧倒的とも呼べる大軍を以てこれを叩き潰し、クワ・トイネ公国軍は多大な損害を被りながら後退し、そのまま東へ追い詰めている。このままいけば我が軍はたいして甚大な損害を被る事無くエジェイへ攻め入る事が出来るだろう。
その確信を胸に抱いて進撃を続けていたが、突如、目前に簡易的な城塞らしきものが見えたという情報が入り、軍は侵攻のペースを落とさざるを得なくなった。
しかし、アデムを介してパンドールから東進の催促が来ている以上、ロウリア王国軍上層部に睨まれるわけにもいかない。そのため、リスクを冒してでも前進するしか道はなかった。
そうして2km程進んだその時、突如、真上から甲高い飛翔音が聞こえてきて、ジューンフィルア達は揃って真上を見上げた。
「何だ…?」
ジューンフィルアがそう呟いた直後、突如、その場に轟音が響き渡り、同時に平原の一部が青白い炎に包まれた。
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『MLRS、命中しました。敵軍の4割を消滅させた模様』
防衛線司令部に報告が行き渡り、大内田は一瞬瞑目してから口を開く。
「4割削れたか…しかしいつ見ても『Tプラス』は恐ろしい威力だな」
大内田の呟きに、他の自衛官や他国軍将官も同感とばかりに頷く。
M270多連装ロケット発射機システムから発射されたロケット弾に装備されていた、自衛隊が有する現時点で最大火力を持つ兵器、『Tプラス』弾頭がロウリア王国軍の真上で炸裂したのだ。
テルミット反応を使って高熱を発する焼夷爆薬に、燃焼を倍加させる特殊溶液を加えた二液混合式爆薬は、半径3km圏内を摂氏6千度の超高熱で焼却し、一つの黒く焦げた円形の地点を生じさせる。
今自衛隊と対峙しているロウリア王国軍がその大惨事に茫然となる中、別の戦線では戦端が開かれていた。
台湾陸軍のM109自走砲や韓国陸軍のK9自走砲が火を噴き、進撃を開始していたロウリア王国軍は敵の姿を見る間も無く155ミリ砲弾の雨に叩き潰される。そして南東部の戦場では、特生自衛隊第1即応機動大隊がロウリア王国軍の魔獣部隊と交戦を開始していた。
「発射始め!」
磯山の号令と同時に、数門のパラボラアンテナから青白い稲光が飛び、複数のルアキューレやリントヴ
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