第百六十七話 正攻法その五
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「どうにかせんとあかんからな」
「それでやな」
「軍勢の采配は芥川がやってくれてな」
「棟梁さんが敵軍を攻撃してくれるにしても」
「それでも少しでも多くの敵を倒しておくに越したことはない」
それでというのだ。
「やったるで」
「童子切と千鳥、そして術にな」
「自分働いてもらうで」
「よおわかったわ」
まさにとだ、鵺は主に答えた。
「アレンカールの旦那の前に行くまでに」
「相当倒すで」
「ほなな」
こう話してだ、そしてだった。
中里は法螺貝が鳴るのを待った、それは日本軍全体がそうであり彼等は既に構えを取っていてそれが鳴るのを待った。
それでだ、こう言った。
「まだや」
「までですね」
「今はですね」
「攻めない」
「絶対に」
「逸る気持ちはあってもな」
それでもというのだ。
「命を待つんや」
「法螺貝が鳴るまで」
「それまでですね」
「まだ待つ」
「そうせなあきませんね」
「待つのも戦や」
だからだというのだ。
「ええな」
「わかりました」
「ほなですね」
「今はですね」
「焦らず待つ」
「そうしますね」
「そや、待つんや」
こう言ってだ、中里自身もだ。
逸る気持ちを抑えてそうして待った、大砲も術も放つ用意は出来ているがまだ法螺貝は鳴らない。待つ時はあと少しだが果てしなく長く感じられた。
だが遂に時が来た、芥川は目の前に浮かばせていた砂時計の砂、黒く着色したそれが落ち切ったのを見た、すると。
その砂時計を掴んで懐に入れてから言った。
「法螺貝鳴らすんや」
「わかりました」
「ほな今から」
法螺貝を持つ兵達が応えた、そしてだった。
法螺貝が高らかに鳴った、中里はその声を聞いて言った。
「よし、行くで」
「わかりました」
「ほなです」
「攻めましょう」
将兵達も応えてだった。
彼等は一気に前に出た、喚声が起こり抜かれた刀も前に突き出された槍も眩き輝き銃と砲が火を噴いた。
攻撃が開始された、その中で。
中里は前にいる敵軍に対して刃を振るった、千鳥の雷と童子切の風が彼等を撃つ。するとその一撃でだった。
敵兵達は百人単位で吹き飛ばされる、鵺はその様子を見て言った。
「ええ感じや、しかしな」
「まだ戦ははじまったばかりや」
「そやからな」
だからだというのだ。
「百人単位吹き飛ばしてもや」
「いけるって思わんことや」
「敵の数は千百万」
「とんでもない多さや」
「百人かそこいらで喜ばんでや」
「どんどん倒していくことやな」
「そしてや」
鵺はさらに言った。
「ええな」
「ああ、目指すのはあいつや」
ここでもアレンカールを見た、今もケツアルコアトルの上にいる。
「あいつのとこに行って」
「一
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