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夢幻水滸伝
第百六十七話 正攻法その四
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「確かに疲れは見えていても」
「幾分程度やな」
「戦えるわ、ただね」
「正攻法で来たことはな」
「誤算だったわ、皆戸惑ってるわ」
 アレンカールはパンを食いながら言った、柔らかい白いパンは中にジャムが入っている日本のジャムパンの様なものだ。ジャムは苺のジャムだ。
「敵の思わんことをする」
「それこそ奇襲やな」
「そうよ、してやられたわ」
「ここでどう戦うか」
「それが問題よ、けれど正面から来るなら」
 敵即ち日本軍がというのだ。
「こっちもね」
「正面からな」
「受けて立つわ、行くわよ」
「よし、行こうな」
 ケツアルコアトルも頷いた、そうしてだった。
 連合軍は全軍食事を慌ただしく済ませたうえで構えを取った、そのうえで。
 日本に向かった、エルドラドは進路を蓬莱に向けていた。
 対する蓬莱も向かっていた、中里は軍の先頭にいて敵の動きを見てそうして言った。
「よし、今からな」
「切り込むな」
「そや、一気に切り込んでな」
 中里は自分のすぐ傍にいる日毬に答えた。
「そしてな」
「敵に一撃を浴びせるのだな」
「その一撃で思いきり敵に打撃を与えて」
「そのうえでだな」
「一騎打ちに入るんや」
 そうするというのだ。
「ええな」
「うむ、ではこの戦でもだ」
 どうするかとだ、緋麻里は述べた。
「戦わせてもらう」
「宜しく頼むで」
「さて、おいも一騎打ちをするでごわすが」
 北原もいる、彼は既に身構えている。
「やるからにはでごわす」
「勝ってもらうさかいな」
「承知しているでごわす」
「僕はアレンカールと戦う」
 まさにとだ、中里は今言った。
「そしてな」
「勝ってでごわすな」
「この戦も決めたるが」
「アレンカールどんは強いでごわす」
 だからだというのだ。
「そうそう簡単に決着はつかないでごわす」
「そや、そやからな」
「アレンカールどんを引き寄せるという意味でもあるでごわすな」
「そや、それでや」
 まさにとだ、中里は話した。
「僕は絶対に逃げんで」
「そうして戦ってでごわすな」
「勝って来るわ、それまで待っていてくれや」
「承知したでごわす」
「ほな行くで」
 ここでだ、彼は言った。そしてだった。
 右手に童子切、左手に千鳥を抜いた。既に鵺に乗っている。そ鵺が自身の主に対してこう言ってきた。
「法螺貝が鳴ったらやな」
「それと同時にな」
 まさにというのだ。
「攻めるで」
「そうするな」
「アレンカールの前まで一気に進む」 
 その彼を見て言う。
「ええな」
「その間の敵の軍勢は倒してくな」
「一万でも二万でもな」
「出来るだけ多く倒してくな」
「敵の数は千百万」 
 中里はその目をきっとさせて言った。
「数は多い
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