第九幕その六
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「いつも飲んでいます」
「そうなのね」
「お酒もいいですが」
それだけでなくというのです。
「お茶もまた」
「じゃあお茶もね」
「頂きます」
こう言ってです、関羽さんはお酒もお茶も楽しみました、そうしてそのうえでこの日は休みました。
次の日も旅を続けます、その中で。
一行は森に入りました、カドリングの赤い森の中を黄色い煉瓦の道が通っています。その道を通りつつです。
オジョは前を見ていました、するとです。
前にある人がいました、その人はといいますと。
白い仏教のお坊さんの僧衣を着ていて被りものや袈裟は金色です、白い馬に乗っていますがそのお顔は。
きらきらとした二重の黒い瞳に細くて見事な形の眉、白い雪の様なお肌に紅の小さな唇です。オジョはその人を見て思わず言いました。
「うわ、凄く奇麗だね」
「美人さんだね」
ボタンも言います。
「女の人かな」
「仏教の尼僧さんかな」
「そんな感じだね」
「そうーーですーーね」
チクタクもその人を見て言うのでした。
「凄くーー奇麗なーーお顔ーーですね」
「いや、あんな奇麗な尼さん見たことないわ」
ビリーナも感嘆の言葉を出します。
「本当にね」
「そうだよね」
「ええ、仏教の人らしいけれど」
オジョにも応えて言います。
「あんな奇麗な人そうそういないわよ」
「そうだね」
「楊貴妃さんはああした奇麗さだったのかしら」
「いえ、あの人が三蔵法師さんよ」
「玄奘殿だ」
オズマと関羽さんが皆に言います。
「あの方こそがだ」
「そうなのよ」
「えっ、そうなんですか!?」
オジョは二人の言葉にも驚いて言いました。
「女の人かって思ったら」
「だから物凄く奇麗な人って言ったでしょ」
オズマはオジョにこう返しました。
「前に」
「そうでしたけれど」
「女の人みたいにね」
「奇麗なお顔をしておられるんですね」
「そうなのよ」
「まさかあんなにお奇麗だなんて」
「ええ、けれどね」
ここでオズマは首を少し傾げさせて言いました。
「あの人はどうしてここにいるのかしら」
「お供の孫悟空殿がおられませぬな」
関羽さんはこのことを不思議に思いました。
「猪八戒殿も沙悟浄殿も」
「そうよね」
「お三方はいつも玄奘殿と一緒の筈ですが」
「何処に行ったのかしら」
オズマもこのことが気になります、それでです。
オジョが玄奘さんにこう声をかけました。
「玄奘さんですよね」
「はい」
その通りだとです、玄奘さんも答えます。
「私が玄奘です」
「三蔵法師さんって呼ばれる」
「そうなのです」
「あの、どうしてこちらに」
「実はカドリングの中華街に呼ばれまして」
玄奘さんは馬から降りてオジョに礼儀正しくお
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