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ドリトル先生と牛女
第九幕その五

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「お酒を飲むまではね」
「論文書くよね」
「いつも通り」
「そうするのね」
「絶対にね」
 こう言うのでした、そしてです。
 先生は実際にティータイムの後はすぐに論文に戻って調べて書いてです、お家に帰ってからもそうしました。
 翌日も研究室で書いていますと。
 お部屋にお客さんが来ました、見れば河童でした。河童さんは先生に研究室に入れてもらいますと明るく言ってきました。
「僕はこの学園に住んでいまして」
「この学園は妖怪も沢山いるからだね」
「はい、それでです」
「河童君もいるんだね」
「はい、そして」
 そうしてというのです。
「今日は牛女さんのことでお話したいことがありましてお邪魔しました」
「というと」
「あの人噂がありますね」
「トラックに襲い掛かったとかいう」
「それですが」 
 この噂話はというのです。
「そうしたお話はないです」
「あくまで噂だね」
「はい、物凄く穏やかな人ですから」
 それでというのです。
「そうしたことはです」
「されないね」
「間違っても」
 それこそというのです。
「いません」
「うん、僕もね」
「このことはですね」
「わかっていたよ」
「左様ですね」
「というか噂はではね」
 先生は河童にお話しました。
「色々言われるよ、君達もそうだね」
「僕達もですか」
「河童は尻子玉を抜くというね」
「あのお話ですね」
「そんなことはしないね」
「というか尻子玉ってないですから」
 河童は先生にこう返しました。
「実は」
「そうだよね」
「はい、人間の身体には」
「ないならね」
「ないものは誰も取れないですから」
 それでというのです。
「ですから」
「そうだね、というか大型のトラックに襲い掛かって吹き飛ばすとか」
「無茶苦茶ですよね」
「牛女さんの体格ではね」
 それこそというのです。
「無理だよ」
「もうその時点で、ですか」
「ないお話であの人の性格を見ても」
「やっぱりですね」
「ないよ、そうした噂話はね」
「根拠がなくて」
「鵜呑みにしたらいけないよ」
 そうだというのです。
「本当にね」
「やっぱり先生はそうしたことはおわかりですね」
「これでも学者だし」
 先生は河童に答えました。
「医師が噂を信じたり鵜呑みにしたり偏見があるとね」
「よくないですか」
「絶対にね」  
 それこそというのです。
「医師はそうしたものには特に気をつけないと」
「患者さんを診察してもですか」
「よくないから」
 だからだというのです。
「本当にね」
「気をつけておられるんですね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
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