邂逅編
第4話 開戦、ロデニウス戦役
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ヴルムが時速50kmの速さで駆け抜け、破壊された城門を通ってギム市街地へとなだれ込んでいく。リントヴルムは騎乗する兵士とともに全身に鎧を身に纏っており、兵士も背後をカバーするために、ボウガンを装備している。そのため生物でありながら、その姿と戦術的役割は装甲車ないし第一次世界大戦期の戦車に近しいものであった。
「撃て!」
その際、市街地各所にて、公国軍兵士がクロスボウや風魔法で威力を増した魔法弓、そして台湾からの輸入品であるM1ガーランド半自動小銃を撃って応戦し、歩兵の何人かを撃破する。
「反撃が来たぞ!」
「ここの建物の多くは木造だ!リントヴルムの火炎放射で焼いてやれ!上空のワイバーンにも航空支援を要請するんだ!」
しかし、ロウリア軍もただではやられず、そこにリントヴルムが火を吐き、歩兵は絶叫しながら建物ごと火だるまに包まれる。
戦況は圧倒的に優勢。しかしロウリア軍将兵は勝っているというのに、その優勢に違和感を覚える。それは先遣隊本陣でも感じ取られていた。
『報告!ギム市内に住民の姿は確認されておりません! 僅かな守備隊の兵士しかおらず、捕虜も大して得る事が出来ません!』
『こちら農業地占領部隊! 倉庫及び畑は手つかずの状態で、毒を撒いたり燃やした形跡は全く見当たりません!』
「何、すでに逃げ出していたというのか? にしても10万もいる住民が1週間足らずのうちに姿を消しているなど…」
将兵達が困惑の表情を浮かべる中、アデムは悔しそうな表情を浮かべ、左手親指の爪を噛む。
「ちぃ、エルフ共を仕留め損ねたか…だが全くの犠牲なしにギムを落とせたのと、食料も一定数を奪える事は出来た。 一先ず都市を占領し、拠点構築を優先しよう。 直ちに後方の東方征伐軍本部に連絡せよ」
「了解!」
アデムは通信兵にそう指示しつつ、苦い表情を浮かべながら東の方角を睨みつけた。
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ギムより東に10km 避難都市チカグラ 公国陸軍西方方面師団臨時司令部
『守備隊、3割が戦死しつつも敵侵攻部隊に想定以上の損害を与えて脱出に成功。現在地下道路よりこちらに向けて脱出中との事』
ギムから東に10km離れた位置にある避難都市、チカグラ。人口1万程度の市民が過ごす市街地の真下に、その10倍もの人々を収容可能な無数のシェルタースペースを持つこの都市は、かつてこの世界を支配していたという伝説の大国『古の魔法帝国』が築き上げた地下倉庫を利用しており、早期警戒機によってロウリア王国軍の侵攻準備を察知したギム守備隊は、鉄道や長距離輸送用トラックの全てを使ってチカグラへ市民10万と日本人移民1万を移送し、この地下スペースに避難させていた。
「一昨日から大急ぎで避難を
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