暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第97話『予選B』
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 
「最下位……!?」


後ろを振り返った晴登は、そう悟って驚愕する。周りの人がいなくなったのは、晴登が速かったからではなく、むしろ遅かったからだとでも言うのか。


「そうだ、腕輪!」


晴登は競技開始前にジョーカーが、腕輪で順位が確認できると言っていたことを思い出し、すぐに確認する。すると赤い水晶の中に、白く数字が浮かんでいた。これが順位ということらしいが……


「128位……」


うん、これは恐らく最下位だ。チーム数は把握していないけど、間違いないだろう。
つまり、本当に晴登が遅れているのだ。


「くそっ、加減してる場合じゃない!」


晴登は"風の加護"の出力を増加。どこまで保つかはわからないが、四の五の言っていられない。まだ集団は見える範囲にいるのだから。
最下位なんて冗談じゃない。少なくとも30位以内と決めたではないか。


「はぁっ、はぁっ……」


何とか加速して集団に追いつくことに成功するも、既に息が上がってしまった。これでは集団を追い抜くには至らないだろう。
ひとまず、後ろについて休むことにする。


「こんな時に飛べたらなぁ……」


空を行けば、こんな集団に邪魔される心配なんかしなくていいのに。現に飛んでいる人はドンドンと先行している状態だ。
しかし、今の晴登にはその望みは叶えることができない。だができないとわかっていても、ついそう思ってしまうのだ。


「いやダメだ、現実を見ろ。まだ始まったばかりじゃないか」


晴登は頬を叩き、気持ちを切り替える。まだ諦めるには早い。諦めなければ、未来は消えないのだから。


「まずはこの位置で様子を見よう」


今晴登がいるのは集団の最後方。一見順位は悪いが、集団が風よけになって逆に走りやすくなっている。また、ペース配分も周りに合わせればそこまで苦ではない。


「ギミックに賭けるしかないか……」


自分の実力で上位を目指すのは厳しいと悟った晴登は、虎視眈々とチャンスを狙うのだった。







『それでは、"組み手"のルール説明を始めます』


アーサーに話しかけられた以外は特に何もなく、ルール説明の時間となった。準備運動を終えた緋翼は、声の主であるジョーカーの方を向く。


『ルールはシンプル。制限時間1時間の内にこの森に潜む敵を倒し、その点数を競うものです』


どうやら"組み手"とは言っても、選手同士が争う訳ではないらしい。まぁ人間相手に気軽に刀を振りたくはないから、好都合なのだが。
しかし、倒した数ではなく、"点数"とは……?


『はい、疑問に思った方もいるでしょう。この競技における敵──これは召喚魔術による魔獣なの
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ