第2章 異世界衝突編
第1話 ゲームチェンジャー
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ただ呆然とする。
―ゴォォォォォォ!!!!
その瞬間、熱帯のジャングルに凍てつくような冷たい風が吹き荒れる。
よく見ると辺りにはチラチラと白い粒が降り注いでいた。雪だ。東南アジア、それもこんなジャングルの奥地で雪が降っている。
「これは……この技は…ま、まさかッ!!」
最悪の事態を想像してしまい、カラカリアンは震え上がる。
そして、彼は目の前の怪人から少しでも距離を離そうとした。
もし、自分の想像通りの能力を持った怪人なら正面から戦っても勝ち目はない。
そう判断したからだ。
幸い、自分にはカラカルの怪人。スピードには自信がある。
このスピード能力を駆使し、背後に回れば勝機はある!!
カラカリアンは全体重をかけて踏み込み、大地を蹴って高速移動をしようとした。だが、肝心なところで脚が動かなかった。
(動かない!?何故だ!?)
何事かと脚に目をやると驚愕し、恐れおののいた。
両足が氷柱に覆われていたからだ。氷はやがて脚から腰、腰から腹へと昇っていく。
(やはり、……やはり……この怪人は…、あいつの血統なのか…!?!?)
必死に氷の拘束から逃れようと藻掻くカラカリアンを前に黒い狼男はゆっくりと近づく。狼男がカラカリアンの目と鼻の先まで近づいた時には氷の拘束は胸を超え、首元までに及んでいた。
「ふッ、無様だな……」
黒い狼男が侮辱するとカラカリアンは怒りに顔を歪ませ、抵抗をますます強める。だがそれも強靭な氷の拘束を前にしては無駄な足掻きに過ぎない。
「聡明で偉大なる大首領様に仇なす屑め、貴様らの反乱の芽など俺が摘み取ってやる」
そう言うと黒い狼男は腕を大きく振りかぶった。そしてカラカリアンの右肩に狙いをつけると―
右肩から胸にかけてを切り裂く。
カラカリアンはフラついた足取りで2、3歩前に進むとガックリと膝を落とした。
「ぐ……グフ………自由…ばんざ……い」
ドガァァァァァァン!!!!
カラカリアンは口から血を噴き出すと小規模な爆炎と爆風を上げた。
―――――――――――――――――――――――――――
「裏切り者め……ショッカーに選ばれた改造人間であるにも関わらず反逆者に寝返るとは…」
裏切り者であるカラカリアンの爆死を確認すると狼の怪人は人間態の時の姿に戻る。
青年は焼け焦げたカラカリアンの死体を一瞥すると痰唾を吐き捨てた。
全く、裏切り者が……。無駄な抵抗をしやがって。この"どら猫"のせいで部下が数人程、死んでしまったではないか。許せん。
コイツら、不穏分子は昔からそうだ。ゴキブリみたいにいつの間にか現れては増えやがる。
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