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八条学園騒動記
第五百八十七話 開演してその十
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「前からぶすりだったけれど」
「服を重ね着していて」
「刃が届かず助かった」
「そうだったんだね」
「あの人は」
「ええ、鎧みたいなお話だけれど」
 それでもというのだ。
「そこまで着込んでいたのよ」
「成程ね」
「そうしたこともあったんだね」
「とにかく昔はね」
 人類がまだ誰にも余裕があったかというとそうではなかった時代のことだ。
「何枚も着たり装飾あったりとか」
「そうした服装については」
「昔は貴族だけだったね」
「それで君主ね」
 貴族の上に立つだ。
「そうした人達の特権だったのよ」
「それじゃあ」
 スターリングは蝉玉の今の話から気付いて述べた。
「今の僕達の劇の」
「ウィンザーの陽気な女房達の登場人物ね」
「皆いい服着てるけれど」
「だから皆上流階級でしょ」 
 当時のイングランド社会においてだ。
「そうだったよ」
「そうだったんだね」
「フォルスタッフ卿も卿でしょ」
「貴族だね」
「騎士だから」
 それでというのだ。
「上流階級よ」
「そうだね」
「あの作品は上流階級のお話なのよ」
「貴族とかお金持ちの」
「そうなのよ」
 その実はというのだ。
「庶民のお話じゃないわ」
「そうだね」
「騎士だしね」 
 スターリングも菅もそれはと納得した。
「フォルスタッフ卿も」
「それであの人お金持ちの奥さん狙ってるし」
「それじゃあね」
「上流階級のお話だね」
「そうした人でないと」
 上流階級でないと、というのだ。
「当時読み書きも出来ないでしょ」
「フォルスタッフ卿手紙書いてるしね」
「それぞれ違う相手に同じ文面のを」
「とんでもない手紙だけれど」
「書いたからには」
「そう、それなりの教育を受けないと書けないから」
 読み書きのそれをだ。
「その教育を受けられるから」
「フォルスタッフ卿も他の人も上流階級」
「それは間違いないね」
「今は誰でも読み書き出来るけれど」
 それぞれの言葉をとだ、男二人で話した。それは考えてみるとというものでありそこからわかるものを話していた。
「昔はね」
「貴族でないと出来なかったし」
「ラテン語なんて教会だけの暗号だったのよ」
 蝉玉はこのことも話した。
「今じゃ聖書はどの国の言語に訳されてるけれどね」
「銀河語でもあるしね」
「各国の言語でもね」
「それで聖書の特権の源の一つになっていたから」
 聖書を意図的に解釈して人に教え意のままに動かしていたのだ、このことから様々な碌でもないことが起こった。
「言葉も大事なのよ」
「フォルスタッフもそうで」
「そこは覚えておかないといけないね」
 二人も納得した顔で頷いた。
「このことは」
「本当にだね」
「ええ、それじゃあね」

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