80 親戚の家へ
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かよ子もまたその時を思い出した。
「まあ、話を続けよう」
中学校生活は小学校の頃と異なり、難なく過ごせた。皆と遊んだりもしたし、勉強も勿論疎かににせず取り組んだ。やっと自分らしくなれたとも三河口は実感するのであった。そして男女問わず友達ができ、小学生の頃のような凶暴な行為に手を染める事はなかった。自分は更生したのだ、と三河口はそう実感した。
従姉のさりや、隣人の女の子・かよ子とも交流して三河口はこの清水の生活が最高であると共に、もう二度と横浜の実家には戻りたくないとも思った。だが、それでも実家の家族はやはり年に一度はこの家を訪れる。そんな時は彼らに会わぬようにと、さりの姉であるゆりやありの住むアパートなどに疎開したものであった。ゆりやありも三河口の事を邪険に扱う事なく接してくれた。
また、さりとの付き合いも永久に続くものではない。三河口が中学三年生に進級すると同時にさりも名古屋の専門学校に進学する為に清水を離れる事になってしまった。
「健ちゃん、ごめんね、離れる事になって。寂しい?」
「はい、でも、また会えますよね?」
「うん、いつでも手紙とか出すし、電話もするわ」
さりの両親や隣の山田家と共に新幹線の静岡駅にてさりを見送った。もう一人だ。だが、同時に自分は高校受験が待っている。さりが通っていた高校に行こうと三河口はそう誓うのであった(なお、幸いにもさりが通っていた高校は男女共学だった為、問題はなかった)。
そして、三河口は受験勉強に励んだ。そして、さりが通っていた高校に入学する事ができたのだ。
「・・・という事だ。それで、色んな事があったが、君達にも会えて俺は十分幸せだったよ」
「うん・・・」
「今日は俺の話を聞いてくれてありがとう。長話になってしまったが」
「いいや、俺、アンタの事よく知る事ができてよかったよ」
杉山が感想を言った。
「だが、俺はまたあの『忌まわしき能力』を発動させる事になっちまったんたがな」
「そ、そんな事ないよ!」
かよ子か抗議した。
「え?」
「お兄ちゃんの能力で赤軍をやっつけたし、この前の文化祭だって赤軍相手に必死でその能力を使って捕まえたよ!後で逃げられちゃったけど」
「ああ、そうだったね」
「それに私も忌まわしき能力だなんて思わないわ」
「奏子ちゃん・・・。それでも、俺は少年院入りを経験しているんだが・・・」
「そんなこと気にしないわ。ね、皆?」
「ああ、そうだな」
「俺も!」
皆はそれでもこんな白い目で見られてもおかしくない経歴の自分を受け入れてくれた事にありがたく感じた。
「ありがとう、皆」
その時、叔母が入って来た。
「皆、もう5時過ぎたよ」
「ああ、そうだね。皆今日はあ
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