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SHOCKER 世界を征服したら
世界征服!!
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頭から立ち昇る黒煙と鮮血特有の鉄の匂いが支配する。


武器の質や人数ではショッカー防衛軍側が勝っているものの、大都市特有の死角の多い壁と建物に阻まれた入り組んだ立地であるため敵との戦いで不利を強いられていた。さらに敵はショッカーに家族や利権を奪われた私怨から恐れることなく攻撃を仕掛けてくることからショッカーは苦戦していた。


 
激戦が繰り広げられている前線から少し離れた後方の瓦礫の山の中で2人の男女が今か今かと部下からの報告を待っていた。
男の方の名は木暮。大阪方面での闘争の指揮官である。彼は家族を1人残らずショッカーに殺された恨みから同盟に参加した生粋の『遺族組』である。


話を戻そう。突如、ゲリラ戦を仕掛け大阪市中央部の占領に成功した同盟ではあったが今や膠着状態に陥ってしまった。このままでは補給、人数などの面で劣勢な自分達の敗北は確定である。そこで大阪の数日前に戦闘を開始した京都の同志達に救援を要請したのだ。
木暮としては少人数でも人員を送ってほしかった。それほどまでに彼らは追い詰められていたのだ。


そんな木暮の元に大型の無線機を担いだゲリラの1人が慌てた様子で彼の元にやって来た。貴重な通信兵である。


「おお、やって来たか!それでどうだ!?京都の同志は救援に来てくれるのか!?」


「それが………京都の同志達は…」


通信兵は虚ろな表情をしていた。木暮は早く答えない通信兵に苛立ち始める。


「どうした?さっさと言え!!今は非常事態!戦闘中なんだぞ!!」



通信兵は暗い面持ちのまま衝撃的な一言を吐いた。


「京都の同志達は全滅しました……。救援は来ません……」


「そんな……!!全滅?嘘だろ?」


木暮は驚愕していた。確かに京都の同志達も厳しい戦いを強いられていることは理解していた。だが京都戦線の同志達には自衛隊・在日米軍上がりの戦車やヘリが多数あった。それが闘争開始からものの数日で壊滅するとは思ってもみなかった。



「それだけではありません!福岡、ソウル、香港で戦闘中のはずの同志達とも連絡が途絶!おそらく敗れたものかと……」



木暮はへなへなと膝をついた。
表情は暗く、絶望しているようだった。


「失敗だ……元々、こんな作戦自体に無理があったんだ」


突如、女性の副官が木暮の胸倉を掴む。
通信兵は何事かと注視し、木暮も突然のことに驚いて何もできなかった。


「私達が諦めてどうするの!?家族の敵を討つんじゃないの!?」


副官が叫んだ。名前は千恵。彼女もまた征服前に母親をショッカーによって殺された犠牲者遺族の1人である。
瞳をしっかりと見つめて語りかける千恵の言葉に木暮は考えを改めた。

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