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戦国異伝供書
第百十一話 政宗の初陣その五

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「よいか、鉄砲の間合いに入ればじゃ」
「その時にですな」
「撃つのですな」
「一斉にな」
 そうせよというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
「それではです」
「鉄砲を撃ちます」
「そうします」
「それで敵兵を撃った後はじゃ」
 政宗はさらに話した。
「切り込むのじゃ」
「鉄砲で撃って敵を倒し」
「その乱れたところにですな」
「そこにですな」
「切り込むのですな」
「そうじゃ」
 その様にせよというのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「その様にします」
「鉄砲の後は刀ですな」
「それですな」
「そうせよ、では攻めるぞ」
 政宗は自身も鉄砲を持ってだった。
 敵の軍勢が間合いに入るとそこに鉄砲を一斉に撃たせた、凄まじい雷の様な轟音と共に多くの敵兵が倒れそれ以上に兵が音と馬に恐れ慄き。
 政宗はそこに騎馬隊を切り込ませた、これでだった。
 戦は伊達軍の勝利に終わった、相馬家の軍勢は総崩れになり我先に逃げていった。そうしてだった。
 戦場に残ったのは伊達軍だけになった、ここで政宗は言った。
「ではじゃ」
「はい、これよりですな」
「勝鬨ですな」
「それを挙げよ」
 片倉と成実に話した。
「よいな」
「わかり申した」
「それでは」
 二人も頷く、そしてだった。
 伊達軍は勝鬨を挙げた、こうして政宗は無事初陣を飾った。
 だがその勝ちに満足せずにだ、彼は勝ちに沸く中で片倉と成実に話した。
「相馬家の領地に入っていってな」
「さらにですな」
「そうしてですな」
「敵をさらに破ってじゃ」
 そうしてというのだ。
「相馬家の領地を奪う、そして降る者はな」
「受け入れる」
「そうしますな」
「伊達家に迎え入れる」
「その様にしますな」
「そうする、とかく敵が来ればな」
 その彼等をというのだ。
「今日の戦の様にじゃ」
「長槍と弓矢で凌ぎ」
「そしてですな」
「あの者達も使いますな」
「鉄砲騎馬隊を」
「その様にする」
 こう二人に話した。
「よいな」
「はい、それでは」
「これよりですな」
「相馬家の領地にさらに入りますな」
「その様にしますな」
「そうする、斥候に忍の者達はな」
 その彼等はというと。
「近くにも遠くにも常に出してな」
「敵を見張る」
「そうさせますな」
「今は」
「そうするのですな」
「そうせよ、敵が不意打ちを仕掛けようとしてもな」
 それでもというのだ。
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