第百十一話 政宗の初陣その四
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「わしのこの手でな」
「戦を決められますか」
「そうする、ではよいな」
「わかり申した」
片倉は政宗のその言葉に頷いた。
「ではこの本陣は」
「お主に任せる、よいな」
「それでは」
「時宗丸が敵を押し返し流れが傾いた時にな」
その時にというのだ。
「さらにじゃ」
「若君ご自身が、ですな」
「あの者達を率いて敵を攻めてな」
「戦を決められますな」
「そうする、ではな」
政宗はこう言って自ら本陣を離れた、そしてだった。
成実は槍隊そして弓隊のところに行って彼等の士気を鼓舞し盛んに攻めさせた。その采配によってだった。
攻められだしていた伊達軍の前線は盛り返し逆に再び攻めだした、成実はその状況を見てそうして言った。
「よし、これでな」
「後は、ですな」
「若君が攻められて」
「そうしてですな」
「決着がつく」
戦のそれがというのだ。
「そうなる」
「左様ですな」
「ではですな」
「我等はこのままですな」
「攻めていきますな」
「そうする、よいな」
こう言ってそうしてだった。
成実は自ら刀を抜きそうして采配を振るった、そのうえで果敢に戦って相馬家の軍勢を押しだしているとだった。
ここでだ、突如としてだった。
相馬軍の左翼の方に歓声と共に騎馬隊が現れた、その騎馬隊はというと。
「何じゃあれは」
「見たことのない武器だぞ」
「あの武器は何じゃ」
「騎馬武者達が持っているそれは」
「一体何じゃ」
水色の具足と馬具の騎馬武者達を見てだった、相馬軍の者は誰もが驚いた。
「騎馬隊なのはわかるが」
「あの武器は何じゃ」
「見たことがないぞ」
「あれは鉄砲じゃ」
ここで誰かが言った。
「あの武器は」
「鉄砲?」
「何じゃそれは」
「どういった武器じゃ」
「火を吹き弾を飛ばして敵を倒す」
その者はこう仲間達に話した。
「そうした武器じゃ」
「そうなのか」
「それが鉄砲か」
「そうであるか」
「うむ、しかし騎馬隊と併せて使うなぞ」
それはというのだ。
「知らん、わしは関東にいたから知っておったが」
「ああした使い方はないか」
「そうであるか」
「そうなのか」
「うむ、関東では足軽が使う」
鉄砲はというのだ。
「そうして撃つが」
「しかしか」
「ああした使い方はないか」
「左様か」
「一体どうした使い方をするのじゃ」
その者はいぶかしむ顔で彼等を見た、すると。
伊達軍の騎馬隊は鉄砲を構えてそうして相馬軍に突き進んできた、その先頭にいる政宗は彼等に言った。
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