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戦国異伝供書
第百十一話 政宗の初陣その三
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「ですから」
「そうじゃ、だからな」
「それで、ですな」
「戦で降すよりもな」
「話や策で、ですな」
「降してくのじゃ」
「その様にしていきます」
 政宗も応えた、そうしてだった。
 水色の服に具足、陣羽織を身に着け大きな三日月を飾った兜を被り水色の馬具を付けた馬に乗って出陣した。
 軍勢は皆水色だ、その軍勢の中で片倉は政宗に言った。
「若君、相馬家の軍勢ですが」
「どう動いておる」
「はい、その数五百」
「我等と同じ位であるな」
「その数でこちらに向かっておりまする」
「左様であるか」
「武器は槍と弓矢ばかりですが」
 片倉はさらに話した。
「槍は当家のものより短く」
「弓やもか」
「小さいもので」
「矢は遠くまでじゃな」
「当家のものよりは」
 届かないというのだ。
「そして鉄砲はです」
「ないか」
「左様です」
「当家はまた槍をうんと長くしましたな」
 成実が言ってきた。
「若君が」
「うむ、織田家に倣ってな」
「そうされましたな」
「考えてみればな」
 政宗は成実に話した。
「槍は長い方がじゃ」
「遠くまで届き」
「よい」
 そうだというのだ。
「その話を聞いて実際に長い槍と短い槍でそれぞれ稽古をさせたが」
「長い槍の方がよかったので」
「それでじゃ」
「長い槍にされましたな」
「それで揃えた」
 その様にしたというのだ。
「これはかなり違う筈じゃ」
「長槍にですな」
 また片倉が言ってきた。
「それに加えて」
「あの者達をここぞという時に出す」
「そうして戦いますな」
「これで勝つ、では行くぞ」
 こう言ってだった、政宗は戦の場に向かった。そうして実際に相馬家の軍勢六百を見てすぐにだった。
 政宗は兵を前に進ませた、その動きは速く。
 敵の軍勢が動く前にもう槍を構えた、そうして。
 敵の軍勢を槍で叩く、そのうえで徐々に敵軍を崩そうとした。
 だが相馬軍も態勢を立てなおしてだった。
 徐々に反撃に転じてきた、弓矢も槍兵の後ろから使い槍と槍の応酬の中で石つぶても使う。彼等は数が伊達軍より少し多く。
 そのことも使って伊達軍を押しにかかろうとした、片倉はその状況を見て言った。
「若君、これではです」
「うむ、相馬家も押してきたな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「そろそろです」
「わかっておる、時宗丸に命じよ」
 成実、彼にというのだ。
「槍隊と弓隊を率いてじゃ」
「戦が崩れない様にする」
「あの者なら出来る、いや」
「むしろですな」
「さらにじゃ」
「押し返せますな」
「それが出来る、あの者にその場を任せ」
 そしてというのだ。
「小十郎、お主にはこの場を任せる」
「では若君は」
「あの兵達の
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