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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第二十六話
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しいって」

「ぜんぜん声ちがうよ。退院? よかった! タスクと全然会えなかったの寂しかったよ」

 するとずるっと、鼻ですするような音が聞こえた。

「あの、心配かけてごめんな……」

「うん、よかった。今度こそ…… 会えなくなるのかなって」

 目を閉じて聞いていた俺は、数秒黙った後にこう告げた。

「マイ……」

「うん…… どうしたの?」

「あのさ……」

「なぁに?」

「俺とずっと一緒にいてくれないか?」

「え、え……」

 彼女の戸惑った声が聞こえる。
 ああそうか、俺は……
 強くはなれた、なら、誰かを。
 マイを守りたいと、今思ったんだ。

「君が好きだ」

 その告白に、電話越しから、彼女の口からポンッと空気が出たような音が聞こえる。
 俺は彼女の答えを黙って聞いてみる。

「私も…… あなたが好きだよ」

 その答えを聞くと、俺の耳あなから何かが沸騰したように熱くなっていくのがわかった。
 体中も恥ずかしくなってしまったのか、内側から熱くなっているのがわかる。
 それと同時に、うれしい気持ちが、体中に駆け巡った。

「マイ……」

 俺はあまりの嬉しさに泣いていた。
 情けながらに、彼女の電話越しに、泣き声を聞かせてしまっている。
 それを黙って彼女は聞いていた。

「タスク…… 私は財閥のお嬢様…… 将来はあなたのお嫁さんになりたいけど…… 私は一人っ子だし、何よりも私の大切な家族を裏切るような真似はできない。それでも…… わたしと一緒に今をいれる?」

 そうだ彼女はお嬢様なのだ……
 だけど、俺は彼女が一緒にいてくれるという問いに迷わず答えた。

「ああ、ずっと君を守るナイトになるよ」

 彼女が誰と結婚しても、彼女を守るナイトになろうと決めた。
 君が好きだ。

「……わかった。至急あなたは、私のところに来て」

「はい、マイ様」

 そうして彼女との将来永劫の契約が終わった。
 俺は、誰かを守る誰かになりたかった。
 なれただろうか、あの人のように。







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