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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第二十五話
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いと、彼は絞り切った水の出ない布を絞るように叫ぶ。
 脊髄反射のように、彼は俺と同時に動いた。

「てめえは筋金入りの馬鹿だよ!!」

 銃を持った両手を彼に向け、同時に放った。
 俺の斬撃で血を浴びた愛銃たちは、淡い赤みかかった銀色となっている。
 火花は、飛び散る花火のように、弾丸を飛ばし、薬莢は前方へと飛んでいく。

「ケ、系:絶対領域?ランセーネン・シールド?!!」

 俺の攻撃に慌てて反応すると、シールドを展開する。
 しかし、そのシールドは、しっかりと見えるようになっていた。
 白い、煙のような、いや彼の心の強度のような壁?シールド?は音を立てて壊れる。
 一つの”何か”が壊れたようにも見えた。
 それを見計らい、彼の右肩へ向けて、弾丸を放つ。

「ん、あァ! ぐぁあ!」

 あっけなく当たった、弾。
 なぜあの大剣で防ぐことをしなかったのだろうと、そんな疑問が。
 ああ、そうか。








 ブウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
 終わりのゴングが会場に鳴り響いた。



「お前の勝ちのようだな……」

 目の前で、糸を切れたように動かない糸人形のように手をぶらぶらと動かし、彼はそう告げる。
 膝は地に付き、抵抗はしないという意思表示が、彼から見て取れた。

「ああそうだ。そしておめえの負けだ」

 そう言い奴の髪の生え際に銃を突き付けていた銃を見て、こう聞いた。

「お前、その剣で銃を防ぐことくらいできただろう」

 彼の右前にある地のコンクリートにささった大剣を見る。
 禍々しく、罪の代償のような大剣は、その異質なオーラを放っていた。
 俺を何度でも切り裂いた力を持っているこの武器だ。

「彼女、の…… そんな気が…… ただそれだけだ」

 彼の顔が、はっきりと見えた。

「透明な武器だって使えたはずだろう。なんで」

 初戦に彼と戦った時に猛威を振るったあの見えない武器。

「不死身の生物を相手にあの武器は役には立たないだろう」

 人をUMAみたいに言いやがって。このやろう。
 まあ一度見た武器は対策が簡単だからな。
 それを聞いて、奴の頭につけた銃を放す。

「まあそうだな…… 何かで潰れそうなら他人を頼っていいんだよ、誰かを巻き込んでもいいんだ
 おめえの人徳でAランクの仲間が誰か助けになってくれるだろう?」

 俺は彼から視界を外し、

「……まあ俺もいるけど」

 そう一言だけ言って、照れを隠すようにして、頭を撫でた。
 反対側を向いているので彼の顔は見えない。

「ああ…… そうだな」

 彼は、声が小さくも、そう答える。

「だからあれだよ…… 
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