第二十三話
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その壁は、一点集中した衝撃しか受けることができない。
銃弾が、止まりその絶対的に破れない壁は、見事に壊れた。
そう俺は、奴の能力である壁の弱点を知っていた。
奴がシールドを使うのは、平面上でのことであり、縦軸での戦闘では”使ったこと”が無いと。
「ったりめえだ、それが俺だあああああああ」
その言葉と共に、華麗なる流星脚を奴の顔面へとぶち込んでやった。
見事に顔面に当たった攻撃は、奴の右頬へとグミを踏んづけたような柔らかい感触が伝わってきたのだ。
そしてすぐさま、頬骨の鉄のような感触に変わり、その固いものを踏んだ感触へと変わる。
奴は、殴られたように、その首を左へ九〇度回転させると、唾と思われる白い液体とともに、臼歯を吐いた。
――――――そのまま、倒れ掛かると思っていた俺は、奴の胸へと着地しようとした。
しかし、その”壁”は見事に俺の足を掴んでいた――――――。
「浅い、浅い浅い浅い浅い浅い浅い浅い浅い……」
な、なんでそのまま倒れろよ! 化け物がッ!!
その奴が発した、繰り返しの言葉の中、俺は砲丸投げの玉のように奴の腕にがっちりと掴まれて、奴を中心として人間を回しているとは思わないようなスピードで回っていた。
せめてもの抵抗で、しっかりとつかんでいる奴の鉄拳を何度も何度も蹴る。
「浅いわああああああああああああ!!」
その激怒とともに、俺はランク祭戦場エリア白線上ギリギリへと飛ばされた。
脳みそをぐちゃぐちゃにされたような、視界が回っている感覚が、俺の中であった。
その酒を飲んで酔っ払ったような感覚で、奴の姿を地に肘をつけながら見る。
「貴様ごときにこの俺の本気を出さなければならないとはな!!」
そういうと奴は、右腕にある軍服の裾を捲ると、腕についている板状の機械のようなものをいじる。
すると、奴の周りから上記のような白い煙が、爆弾を爆発したように広がった。
いまだ揺れる視界の中、ゆっくりと立ち上がり、奴の様子を見た。
その”体”は、いままでの”盾田剣士”とは思えないような、顔相応の体格へと変わっていた。
しかし、いままでのような、岩山のような雰囲気ではない。
筋肉が何倍にも凝縮されたような、完璧な肉体である。
「見せてやろう、俺の鍛えられあげた肉体の力をッ!!」
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