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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第二十三話
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ってきた、二人の男たちの戦いだ。

 集客性、話題性のある二人が戦うのだ。

 観客席は満員となり、中継による携帯対端末でさえも、サーバーエラーを起こしている。

 それだけに彼らの戦いは、誰もが注目するようなものとなっていた。


 しかしその二人はそのような”外部”の情報など微塵にも興味がなかった。
 それは、己の信念と、己の目標の戦いだからだ。
 そのような自己をかけた、人生をかけた戦いに、外の情報は無用である。



 ◇ ◆ ◇



 目の前に立つのは、見上げられることができる、エベレスト級の体格がある男。
 顔は、武士のように、堅苦しい印象があり、誰も彼もが、江戸時代からタイムスリップして飛んできたのだろうと感想が出てしまうほどに、巌窟な顔立ちであった。
 体からあふれるオーラは、百戦錬磨の戦士のような、戦いに生まれ、その生涯は闘うことだけが、宿命づくされた人間だとわかる。
 それほどまでに、彼の周りは、殺意を隠し切れないほどに満ち溢れていた。

「準備は万全か、まあその様子なら聞く必要はないな」

 奴は手に持っていた、最恐にして最凶の武器、系・神殺斬首刀《ケイ:ディカヴィテイション・ソード・オブ・ザ・ゴッド》を持っていた。
 全身の筋肉はとあるファンタジーに出てくる巨人岩窟ような肉付きに、腕は大きい丸太のようでもある。
 それをその体格に似合うように、堂々と、軽々と持ち上げるさまは、地上にある全てのものを叩き潰しそうなほどの、力強さを感じる。
 巨大な”山”と相手をしているような錯覚さえ今の俺にはあった。



 だが俺は越えてやる。



 ――――――この壁を、この山を、この男を。



 そうして俺は、両脇にあるホルスターからSIG SAUER P228 XX?ダブルクロス?という名をした重火器を取り出した。
 純銀のような、きれいな銀灰色をしており、会場の天井にぶら下がった、ライトを反射して、その光沢をみせた。
 剣を抜くようにして、そして奴のほうへと、二丁の銃を構える。

 場の空気は、凍り付きそうな緊張感から、刃の先端のように、鋭利な空気へと変わっていく。

「ああ、いつでも始められるせ」

 そう奴に告げ、二丁の銃を強く強く握りしめる。
 体の調子は、かなり好調なものとなっており、奴の首をとろうと全神経、血、細胞が獣のように身震いを始めていた。
 さらに武者震いをしているのは、この能力印。
 体の興奮作用が最高潮なのか、その手に刻まれた刻印さえも赤い光を放ち、戦闘を始めろと訴えているようにみえる。

 ああ、そんなに焦るんじゃねえと、刻印に言い聞かせ目を閉じた。

 イメージする、自身が有利に立てる姿を。
 終幕?
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