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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第二十二話
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「よくここまで勝ち上がってきたな、無能力者…… いや、タスクッ!!」

 正面に立つのは、盾田剣士。
 人間を一回り、二回り、ビックライトで大きくしたような筋肉が大半の体。
 衣類は支給された軍服に、中では黒いアンダーシャツを着ている。
 史上最強にして、全戦無敗、100年に一人神に選ばれた存在。
 その姿は、鉄壁のように分厚く、どんな攻撃さえもたやすく軽く跳ね返し、奴の能力である見えない壁は、敵の精神をくじかせる。
 さらにその能力はどんな形に変形することができる。
 近寄る者、迫りくる攻撃は、絶理の壁で無へと返し、全ては最強のためにと存在しているようでもある。

 それが俺の壁であり、この先の憧れの人へなるために、絶対に倒さなければならない相手。

「ああ!! この前のやり返し?リベンジ?にきたぜ!! 中年顔野郎!!」

 敵ながらも迎え入れようとした相手を、貶すような発言で罵倒した。
 だが、ここまで来たんだ。
 詫びねえ、媚びねえ、ひれ伏さねえ、諦めねえ、俯かねえ。
 それが俺だ。


 ――――佐部タスクだ!!


「ふんッ!! 相変わらず、返しが捻くれた厨房のような言いぐさだな。貴様がここまで這い上がってくるところを私はしっかりと見ていたぞ」

 鼻で飛ばすように息を出すと、奴は腰に回していた大剣を俺の方へと向ける。
 重さはファンタジー世界の巨人が持つような大剣である。
 それは盾のようでも、剣のようにも見える武器で、奴は軽々と扱えている。

 それは、丸太のような大きな腕で扱っているからだ。
 その腕は、同じ人間とは思えないほどに大きく、腕全体を黒の衣類で隠れている。

「それはわざわざご苦労さま!! 俺はお前を越えて、絶対に掴んでやる!!」

 すっと彼に中指を立て、微笑の笑みと渾身の目力で答えた。

「ハハッ!! 貴様ごときが、この俺を越えるだと……」

 俺の発言に痛快に笑うと、手を顔に当て、浅く笑みを浮かべていた。
 次に顔をあげる。その瞳は、ついに長年探し続けていた”何か”を見つけた探究者のような顔でもある。

「やれるなら、やってみるがいい。だがこれだけは言っておく、お前がその腕を治す力を手に入れたように、私も貴様と初めて戦ったときの私ではない」

 ガーン!!

 奴はコンクリートの地面に、手に持っていた大剣を突き刺す。
 発泡スチロールを木の板で貫いたように、コンクリートをいとも簡単に貫いた。

 奴が俺の能力について知っていたなんて……
 俺の能力は死すらも超越した完全治癒能力。
 頭以外のどんな攻撃でも即時再生のできる能力だ。
 だからどうした。最終決戦だろうが、なにをビビってんだ
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