第二十二話
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これは理不尽だ。
それは誰でもなく俺の感想だ。
彼が、俺が、誰かのためにと、その生涯を捨てる意味はあるのだろうか。
なぜ一個人に任せるのだ。
なあ誰のためなんだ。
明日死ぬかのような人間に、顔も知らないような人のためにこの生涯をささげる必要はあるのだろうか。
幸せは、自分の中でしかないと思っている。
この誰かのようになりたいという目標も、結局行きつく先は自分のためだった。
俺は自分の幸せのことしか考えることができない。
なぜあいつが背負っているのだろうと、俺には一生理解ができない。
なあ教えてくれ、なぜおまえは自分のためにこの人生を使おうとはしないんだ。
自ら全てを捨てに行くような考えになれるんだ。
「なあ」
それらの思考を止めた俺はただ一つ聞きたい質問に、小さくもない一声をあげた。
同情は糞以下の人間がするものだと分かっている。だから同情は一切しない声音で。
「お前は何のために戦ってるんだよ」
その問いに、どんなも物さえ入る隙間が無いほど瞬時に答えた。
「この世界を蹂躙している神を殺すためだ。そして神の手から俺一人で人間を救う」
それもいとも簡単に、悩むこともなく、淡々と、さも当たり前のように。
その答えに俺の感想も出ることはなかった。
こいつと俺は相磯ることはない。
ただそれだけだ。
「そうか……」
答えは出た。
まさに神というよりも超越されたルールのようなものに選ばれ、正義に忠誠を誓った人間なのだろう。
世界、国、社会、家族、仲間――大衆の盾。
それが俺の壁だ。
盾田剣士という壁だ。
あの人のようになりたいと、誰かを救う誰かにないたいという者の壁。
「俄然、お前を倒す気になったよ、答えてくれてありがとな」
そう一言、感謝を述べた。
目の前の倒すべきものは世界の、人の抑止力。
いわば体の中にある、白血球との戦いだ。
力無き大衆のためにとその身を捧げ、世界の均衡を守るために、邪悪な武器を持つ相手。
その矛盾したあり方に、人間のあり方と似ていると思った。
だからこの戦いは、人間対俺の戦いだ。
言い換えれば世界対俺だ。
やってやる。
――――――やってやるよ、運命様。
散々血を吐き、弱音を吐き、挫折を味わい、誰かのやさしさに触れ、俺を救ってくれた誰かのようになりたいと願った人間の戦いだ――――――。
「貴様が何を考えているのか、そんなものは一切わからん。だがな、俺は世界の真実を知ったためこの混沌とした世界を救わなければならない。神という冠をかぶっているバケモノたちからな。
そのための犠牲はこの両手に、嫌というほど数えないほどに
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