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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第二十二話
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俺は。
 ここまで這いずり回ってきた。なら簡単だよなァ!!

 ゴールまで這いずり進む。

 たったそれだけじゃねえか!!

 そしてやつは、手に取っている武器の名を、ゆっくりと告げる。

「系・神殺斬首刀《ケイ:ディカヴィテイション・ソード・オブ・ザ・ゴッド》」

 その武器、柄は木刀のように握りやすいような大きさではあるが、刀身は体感で、奴の腕の三倍ほどの大きさである。
 その名の通り、神でさえも斬首できそうなほど、巨大な太刀であった。
 刀身は、禍々しい紫を中心とした、暗然たるコーティングとなっている。

「これが私の新たな相棒だ。はるか昔から律動的に行われる、連関された神殺しは、私の責務となった。この神のお遊びによって混沌となった世界を、愚行な神から救うべく手に入れた新たな”力”だ」

 その時だった。

 ――――錯覚、いや俺には見えた。

 奴の武器を持っている腕は、その武器に喰われかけているのをその”気”だけで退いている。
 常世全ての、殺意、残虐的衝動、善を悪へと変える力。
 人間の業を、世界の業を具現化したような武器であった。
 魔人のような力を持った武器を扱う覚悟、世界を救う使命が俺にはわかる。
 奴は、自身の人生をかけて、その武器を握っている。

 神殺しという単語に、疑問が生まれる。
 こいつは、何を言っているのだろうか。
 まるで何か世界で起きている大きな背景の一端を知っているような言いぐさだ。
 それと同時にこうも思った。

 なんて覚悟なんだ。

 その覚悟は、生半可なものではない。

 解る。その力は最恐にして、最凶である。
 解る、その力は振るう者を、”シン”の孤独へと誘う。
 解る。その力は”ゼン”を憎み、”ゼン”を滅ぼすべく作られたものだと。


 背負うことがどれだけ愚かなことなんだと、俺は分かっている。


 世界の理不尽、それが奴を見たときの感想となった。
 ああ、この世界は狂っている。


 人間は、見たものをそのままでしかとらえることができない。
 しかし、同じような境地の人間同士は、ある程度の察しができる。


 選ばれた者…… それは、何かを背負う者だ。
 この不死身の能力も誰かの思惑で、背負わされたものである、あくまで推測だが。
 この力に何度も救われてきた、そんな俺も何か大きなものを背負わされたものなのだろうか、それはわからない。


 昔々、世界のある村では、生まれた一人の子供を神と崇め、一つの神鋼としてまつりあげた。
 しかしその子供は、世界に、社会に、家族に、人間に、欲のために、一人神として崇められたのだ。
 大衆のために、一個人がその人生を、その生涯をささげなければならない。

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