第十九話
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が出ている。
人間というものは慣れるといった環境適応術が備わっていると誰かが言っていた。
しかし、この身が半壊した状態からは凄まじい激痛があった。
その激痛に俺は慣れることができなかった。
凄まじい激痛の前では、環境適応術など無に等しいのだとわかる。
――――俺は最後まで立っているんだ。
そんなことを思いながら、足をガタガタ揺らしながら立った。
下半身が無くなって、立てるようになった時間。
おおよそ20秒足らずだ。
とんでもないような自分の能力ににやけながら、奴の動向を見る。
奴は殴り終わった状態で固まっていた。
銃弾を食らった肩であるはずなのに、奴はとんでもない威力で俺に攻撃をした。
とんでもないやろうだ。
その固まっていた姿は、日本国歴史で有名な弁慶を思わせるような姿勢である。
全身からの血の提供が止まり、ついに戦闘不能となったのだろう。
奴は、最後までやり切ったのだ。
固まっていた顔はなんだか満足げでもあった。
ブウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!
試合終了の合図が鳴り響く。
会場全体からとんでもないような歓声が聞こえてきた。
ああ、やりきったぜ。
なんともやり切った笑顔がムクムクと湧き出てきた。
すると後ろの方から聞きなれた声が聞こえる。
「タスクぅううううううう!!!!!!!!」
それに気づいた俺は、その声の方向を振りむく。
その最前列には、涙を流しているマイがいた。
そんな心配そうな顔をしていた彼女に、ありったけの笑顔を見せる。
そして勢いよく立てた親指を向けた。
◇ ◆ ◇
試合が終わり、選手待合室に戻っていた。
すると、勢いよくドアが大きく開いた。
「タスクゥウウウウウウウウウウウウウ」
マイが来ていた。
俺の全身を隈なく見ると、血まみれにもかかわらず抱き着いてきた。
「もう…… タスクのばかあああああああああああ」
俺の胸に顔を押し付けるようにして叫んでいた。
「ごめんな、心配かけちゃって」
彼女の後ろ髪を撫でる、その髪からはいい匂いが鼻に入ってくる。
そのサラサラの髪、肩を震わせながら泣く彼女に、その時に言う言葉を言えずにただ抱きしめた。
ずっとずっと彼女に、自分の存在をわからせるように、強く強く。
「なんでタスクが生きているのかなんてわかんない…… だけど、こんな戦いは二度としないで」
そう言って彼女はさらに強く抱きしめた。
「わかった…… ごめんね」
それから、彼女が泣き止む
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