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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第十八話
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覚…… 思い出した。

「てめえ急にどうしたんだよ!! 何がどうなってんだ!!」

 ゴウが俺の醜態を見て、混乱しているようだ。
 その声には焦りも交じっており、目の前の現実を受け入れることができる状態ではなかった。



 俺は、現実を終えることができない。
 俺は、現実から逃げられない。


 俺は、死ねない。


 みっともなさすぎる。
 そんな情けない感想が俺の心の中で生まれる。







 その時だった。



「タスクゥッ!!!!!!、ここで終わらないよねッ!!!!!!!!」



 幾たびの歓声をすり抜けて、その声援は確かに俺の耳へと届く。
 会場のどこからか、聞き慣れた声が聞こえてきた。
 大好きでいつからかそばにいたいと思っていたあの子の声だ。

 この会場であの子が見ていたんだ、ここで終わるわけにはいかない。
 どんなに無様でも、たとえ負けたとしても、挑み続けろと剣先生は言っていたんだ。
 こんなところでべそをかいて…… 何をしていたんだ俺は!!

 うずいていた体制から立ち上がると、にじみ出ていた目元の滴を服の袖で拭う。

 そして自身の右頬を、力の限り殴った。
 折れたような音が鳴り、勢いに視界は大きく揺れ、意識が軽く飛ぶ、しかし気合は十二分に入った。



「オォシッ!!」



 俺は……
 唖然となって正面に立っていたゴウを視覚で捉え――
 何を弱気になっていたんだ。
 この体は綺麗になり、体中の傷は消え動かないと思っていた下半身は何もなかったように動く。



 そして俺はその右手を、力強くも天高くつきあげる。



「見ていてくれ!!!!!」



 喉が張り裂けそうになりながらも、あの子に届くように大きく叫んだ。
 そしてこうも叫んだ。



「諦めない限り俺は負けえねええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 手を目の前にかざし、その手のひらを対戦相手であるゴウに向け、ファイティングポーズを取る。
 この魂の叫びは自身の能力に対しての開き直りでもあり、この戦いで自身が知り得た教訓でもある。
 好きな子にとんでもなくみっともないところ見せてやるぜえええええええええええ!!!!


「そうこなくっちゃなああああああああああああああああああ
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