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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第十八話
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「俺はお前のマジが見たかった…… だけどな相性が悪かったようだな……」

 間が3秒ほどあった。俺はただ彼の声を聴いていた。
 そうだ…… 俺を殺せ、殺してくれ。


 ズサッ!! 


 何かが、心臓へと突き刺さる感覚が、確かにあった。
 鋭利なものが、肉を切り、肋骨を断ち、無数の血管を切り刻んで進んでいく感覚。
 痛いという当たり前の痛覚すら俺には無かった。
 ただこれから殺されようと惨敗した人間の一生が終える映像だ。
 何か他人事のようにも思えてくる。
 誰の人生だ? ああそうだ俺の人生だ。




 こんなにも呆気なさすぎたんだな。










        ◇ ◆ ◇








 俺は誰なんだ?

 ――佐部タスクだ。



 何のために生きているんだ?

 ――憧れのあの人のようになりたい。そのために生きている。



 誰のために戦っている?

 ――それは…… 俺の……。



 では何のために戦っている?

 ――俺の強さを…… 証明するために。



 その先には何がある?

 ――わからない…… でも憧れのあの人のように、誰かを助けるためには、強くならなければならないと分かった。だから戦って強さを証明する。



 俺はすっと一人だった、だれかがこの手を差し伸べてくれてほしいと思っていた。
 ユウと初めて話した時も彼女からだった。基本受け身な俺だ。
 今は自分から接するようにはなったけど、結局は臆病なところは昔から変わっていない。
 そんな自分が誰かのために強くなりたいと思ってしまったのは、間違いなんだろうか。
 結局、今こうして戦えるようになったのは剣先生のおかげだからだ。
 やってみなければ、わからない。剣先生はそう言っていた。
 確かにそうだ、その場から動かない限り何も変わらないとは自分でもわかっている。
 答えも出ている、だけど一歩を出す勇気が自分にはない。
 結局はマイや剣先生に、何かを言われなければ動くことができないノロマなんだ。
 こんな自分で…… 何ができるんだろうか……

 所詮は甘ったれなんだ。
 切り捨てれば強くなれるのに、甘ったれゆえに切り捨てることができない。
 その考え方が今、この状況下ではっきりと表れている。

 このランク祭で――。

 俺は、目の前にいる男の前で、

 その恐怖に――

 圧倒的な敵の戦闘力に――

 肉体はボロボロにされ、動くことができなくなった。

 正面から立ち向かうだなんて、彼を舐めていた。とんでもない強さだ。
 無理だ、反応ができなかった。
 何が不死身の能力、再生の能力を
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