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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第十七話
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 同時に動いたか――いや奴の方が少しばかり早い。

「おせえ!!」

 空気にねじ込むようにして進む弾は、奴の頭部へと真っすぐに進む。
 奴はとんでもないスピードと反応で、放った弾を避けた。
 いや奴は急に重心が低くなり、加速したのだ。

 突風のように俺のミッドレンジへと近づく。
 凄まじい速度なのか。その張り手からは、空気がねじ切られているようにソニックウェーブが発生していた。

 反応ができないほどに早い攻撃に、ただ目で追いかけるだけで精一杯であった。

 これは――当たるッ!!

 その張り手が、腹部へと当たる。
 俺の腹は、水風船を思い切り張り飛ばしたように、ぺしゃんこになった。
 くの字へと体を曲げながら、俺は後方へと粗末に投げられた人形のように吹っ飛んでいく。
 そして凄まじい衝撃音とともに、フィールドに設置されている障害物に体ごとめり込んだ。



「ガッハァ!!」



 口からは、中の血肉と血が弾け飛んだように、俺の目の前を飛翔する。
 血が、血が、俺の血が、全身から吹き出てるのが分かった。

 内臓が全て潰れてしまったのか、腹の感覚が全くと無い。


 もはやそこには痛覚という概念は無く、ただ視界だけの情報を脳みそで投影されているだけ。


 咳に混じった血が口から出た。


 苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい。



 こんなんじゃ終われない。俺はッ……

 意識が途切れかけながらも、正面から俺の方へとゆっくりと歩いてくる奴が見える。
 体が動かなかった。言うことが聞かない体にひたすら信号を送っている。





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