第十七話
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「って! 話聞いてんのかおめえよぉ!!」
奴はツッコミを入れるように叫ぶ。
「……そうだよ、俺が佐部タスクだ。まずは他人の名前を聞く前に、自分の自己紹介が先だろ?」
俺はこらえきれずに、常識を教えてあげた。
「へへっそうりゃそうだな。俺の名前は、畑井 剛≪ハタイ ゴウ≫。ランクはB級だぜぇ」
自己紹介を発したと同時に、軽いシャドウボクシングをすると、中指を俺の方に向けてきた。
なんともこのような人種はあまり得意ではない。得意というよりも好きではない。
自分のことを最高にイカしてると思っているのだろう、最高に自己評価が高い人間。
顔もあまりかっこよくはないのに、こういう自尊心が肥大化した人間はほんとうに嫌いだ。
「そういえばお前、卍城に八百長使ったんだってなぁ? いくら払ったんだよぉ?」
ん?少し理解に遅れてしまった俺は、3秒ほどしてやっと言葉の意味が分かった。
俺が八百長してる? 八百長をするような金があったら、コンテナハウスという住居を変えている。
どういう思考回路なのかと考えてみたが、奴は俺が卍城に勝ったという事実が受け入れられないらしい。
「おあいにくさま、八百長する金が集まる前に、3人分の食糧費で金が尽きるもんでね。ちなみに不正する度胸すら俺には持ち合わせていないよ」
自虐を入れながら反論する。もともとお金は使わない人間だった。
だから今の状況が苦しいというわけでもない。
「へっへぇ…… そうかいそうかい。んじゃあ、お前の実力、この俺様に見せてみろよぉ……」
チェケラッ!! と言いながら彼は突然と踊り出した。
呆気にとられていた俺は、顔を振って集中力を取り戻す。
これじゃあ始まる前に相手のペースにはまってるじゃないか。
そんなことを考えているうちに実況が大きく叫んだ。
「皆さんきましたああああああ!! ランク祭敗者復活戦、第3戦目!! 右手に見えるのは、底辺から這い上がってきた、人気も強さも急上昇中の、不滅の魔術師ぃ! 佐部タスクだあああああああ!! 今日はどんなトリックを見せてくれるのか!?」
うおおおと観客席から大声がまだらであるが聞こえてきた。
自分にこんな人気があったなんて思いもしなかった。
「左手に見えるのは、その名に恥じぬ、剛力豪速暴君! 畑井ゴウだああああああああああああ!! B級トップランカーの維持を見せてくれぇ!!」
奴は聞き終わったのか、親指で自身の鼻先を擦ると小さく笑みを漏らし、こんなことを言い出した。
「なあ? この感じゾクゾクしてこねえかぁ?」
何を言ってるのかと思ったが……
「確かにな、これから始まるって思うと、ガーッてくるよ」
相手の語彙力が移
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