第十四話
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には小細工など通用しない。
俺は再度奴の方へと全速力で駆ける。隙を作るためにと、同時にナイフを投げる。
奴の顔面に吸い付かれるように空中を切り裂く。
全力で振り下げ、義手のパワーを存分につかって放たれたナイフ。
肩の関節が悲鳴をあげる、限界はとうに来ていたと認知はしていた。
「来いッ!! 無能力者!!」
「ああ、ぶっ壊してやるぜ」
奴はすぐさまナイフを掴み、俺の顔面へとそのデカい拳を振りかぶった。
その隙を見計らい、地を速度をさらに加速。
度重なる体の行使により、きしむような痛みが全身を包む。
こんな体なんて、どうなってもいい。
上体から振り上げた奴よりも、早く懐へと入っていた。
すぐさま岩窟のような顔を左腕でアッパー、そのまま上に伸びた体重移動で、腹の脊髄中核を砕くように何度も何度も殴る。
普通の人間ならば内臓が破壊されて、途中で死んでしまいそうだが、念には念を入れ、さらに何度も叩く。
肉を殴っているにも関わらず、その腹は鉄の要塞のように軋むことを知らない。
奴は攻撃を食らいながらも、一言も根を上げることはなかった。
そして上げた腕を俺の方へと振り下ろした。
十分に避けることができたパンチ――寸分で避ける。
奴の攻撃は遅くて重い。しっかりと見極めれば避けることは可能だ。
避けた体重移動を使い、先ほど何度も殴り続けたみぞおちをフィナーレと言わんばかりに、義手のパワー全開で叩き込んだ。
ドズッ!!
筋肉と金属がぶつかったとは思えないほどの鈍い音。
たしかに攻撃は急所へと当てたはずなのに……
(あれだけ人的急所を殴り続けたんだぞ…… 何かがおかしい)
「ふんッ…… 甘いわぁッ!!」
奴はそれを見計らっていたのか、完全なる読みの攻撃によるものだろう。
何百Kmもの上空から落とされた鈍器のようなものが、背中にぶち当たった。
肺は衝撃で紙パックを勢いよく潰したように、ぺしゃんこになったのを感じる。
勢いよく地へとズレ落ち、胸板に近い肋骨が、五本ほど折れた音が聞こえた。
そのうちの何本かが肺に刺さったのか、瞬時に潰れた肺を治すようにと呼吸する度に、とんでもないような肺損傷による激痛が襲う。
すぐさま奴は俺の髪の毛を引っ張り上げ、威厳な顔立ちで俺の顔を宙に飾るように見た。
「ここまでやれる無能力者の貴様に私から賞賛を送ろう。無能力者よ、『拒絶の王』のメンツを守るためにもここで死んでおけ」
奴は左手に見えない刃を持ち、突き刺すのだろう、勢いよく後ろに振りかぶった。
そして刃で心臓を突き刺そうと、その左手を俺を串刺しにすべく、見えない刃を持った手は近づいて行く。
俺は渾身の膝蹴りを、奴の突き刺そうとした腕
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