暁 〜小説投稿サイト〜
最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第十三話
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話



「おいデカブツ!」

 ある程度考えがまとまってきたので彼の真正面へと立った。

「無能力者よ、その反応、思考速度だけは評価してやろう」

 それに反応し彼は遮蔽物への攻撃を止め、俺をたたえるように言い放った。
 なんでこうもトップを走っている連中は人間が出来ているんだろうか。
 少しばかり癪に触ってしまう。
 二人はフィールドの中央線に沿うように向かい合っている。
 その距離は9メートル。お互いが攻撃をしようと行動すれば届く範囲である。

「それよりも。お前のおかげで俺の隠れるところが無くなったじゃねえか」

 奴に嫌味を言うように投げかけた。
 俺の横を見渡せば、日本刀で試し切りしたの木々達のように、3×2メートルほどの長方形の障害物たちは斜めに切られていた。
 それは幼児に遊ばれた積み木のように、無造作に散らかってもいる。

「それはすまない。ゴキブリのようにちょくちょくと逃げ出すお前には、逃げ場所を潰しておく必要があると考えた。住処を潰してしまい本当に申し訳ないと思っている」

 彼は軽いジョークをたたくように投げかる。
 こいつ最高に煽りがうまいじゃないか。
 口のうまさににやりと口元が上がってしまう。

「ったく…… むちゃくちゃなんだよ。しっかし、なんで何も持っていないのにこれらを壊せるんだ?」

 俺は彼の能力について聞いてみた。もちろん彼の能力だけは全くと知識がない。

「何を言っているんだ。お前は、私のことを洗いざらい調べてきたのだろう。初動の見事な避けは、事前の情報がないとできない芸当だ。まあ私は貴様については全くとは調べてはいないが」

 お前のことなど眼中になかったからなと彼は言った。
 その言い草からは、全てを見透かしたようにも聞こえる。
 その強者特有とも言えるその言いぐさに不快な感情が、俺の腹の中を駆け巡る。
 俺は14歳から去年の16歳まで、ランク祭に出場をすることができなかった。
 だから情報が無いというのも無理はないとも思う。
 なんせ俺はランク祭に出ることが叶うまで、陰でさまよう亡霊のように生きていたからな!
 最弱無名だった過去…… だけど今は違う!!

「バレてたか…… そうだよ。だけどお前の能力詳細だけは分からない。でもまあさすがにおじさんクラスの上級者は、嫌でも俺の頭の中に『功績』という情報がいくらでも入ってくるよ。だけどよおじさん。俺のことを知らないだなんて、顔に似合って勉強不足なんだな」

 全ては能力さいのうと言わんばかりに、こいつらは絶賛というビールを浴びてきた者たちだ。
 日陰の片隅にいた俺とは違う人たちだと俺は思っていた。
 だけど今こうして最弱無能と言われてきた俺と、互角とも言えないが戦えているん
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ