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最弱能力者の英雄譚 〜二丁拳銃使いのFランカー〜
第十二話
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 二人白線へ並んだ。対局する二人は反する存在のように、体格も、その全てが反して見える。
 それほどまでに、彼の存在感に場違いという考えが産まれる。
 武器を使わない能力者と言っていたが、本当に武器を使わないようだ。
 ただ堂々に振る舞う姿。その巨体が武器のようでもあった。

「お前が卍城王也を倒した無能力者、佐部佑か」

 彼はそう言う。その発したことばからはまるで、俺の相手をしているようには思えなかった。
 景色の虫と喋るようだ。

「ああそうだ、次はお前も倒すけどな」

 彼の虫と喋るような声音に怒りが芽生え、俺の口から笑みが溢れた。
 彼の言葉に、買い言葉を。
 そして、俺は右腕の皮膚に見立てた皮ゴムを破り取るように取った。
 機械のは光沢を浴び、その強靭な黒鉄の腕を奴に見せる。

「卍城王也…… アイツは甘い。右手一本だけとはヤツらしい」

 腕を見るに奴は感想を漏らした。

「フンッ ほざいてろよ」

 戯言を振り払いように俺は鼻息を出す。

「そうして頂く、しかし、お前ごときでは俺の足元にも及ばないだろうな」

 鉄壁の鉄城から見下ろすように彼は答えた。
 彼の中で覆せない絶対的な自信があるのだろうと思う。

「んなのやってみねえとわかんねえだろうがこのデカブツ」

 必ずお前の足元掬ってやる。おじさんみたいな顔しやがって、16歳とか嘘だろ。
 俺はそう思いつつ手を握りしめる。その手からは汗がにじみ出ていた。

「それもそうだ。実戦というものはそういうものだからな」

 1本取られたと笑いながら彼は答える。そして悠々とこう続けた。

「貴様ごときに本気を出せば個々のメンツにも響いてしまうからな…… 安心しろ本気は出さんよ」

 先ほどとは違い、絶対的な自身から放たれる声音だ。

「お生憎様、俺もお前に本気なんて出さねえよ。むしろ本気を出す前にお前が終わっちゃうかもしれないからな」

 その殺意を交わすように彼に投げかけた。

「ほほう…… それは楽しみだ。おままごとの武器でどこまで戦えるか見せてもらおう無能力者よ」

「お前もその動きにくそうな図体でどこまで付いてこられるか試してやるよ。この俺様直々に」

 お互いににらみ合い、その眼光からは高圧の電気を連想される。

「口が達者の用意だな。それが戦闘にも反映されるとお前も嬉しいだろう」

「お前も馬鹿そうに見えるけど意外と喋れるんだな筋肉ゴリラ。むしろ喋る練習になったか?」

 場の空気は迸る電気のように、ビリビリとしている。
 会話の攻防にも慣れてきたころ、係りに並べという指示が入った。


 そしてしばらくして実況が叫んだ。

「右手に
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