第十二話
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で抜刀の構えを取っているのだ。
その仕草を眺めていた俺は、彼がどんな攻撃をしかけてくるのか、彼、そして自分の周りに注意を張り巡らせる。
「はぁッ!!」
一瞬、その0,2秒の間に俺は、彼の空間ごと切り捨てそうなほど振り切る行動を認識。
勘でその場にいてはいけないと感知し、すぐさま義手を地面へと叩き込む。
義手のフルパワーで地面へと全開に叩き込まれた体は、弾き出されたように地面へと離れる。
体全体を攻撃を避けるように、地面へと名一杯仰け反りになる。
”何か”が俺の下ギリギリを通るのを、第六感とも言えるようなモノで感じた。
そして何よりの証拠が、掠った服が切れていたことだ。
「叩き切ってやる!!」
瞬間、彼は兜割りの要領で大きく上半を後ろへと振りかぶる。
怒涛の第二攻撃が来ると気づき、空中にいた俺はヤツの気を逸らすため攻撃へと入る。
宙にいながらも、最強のバランス感覚で閃光のように体勢を整え、彼の体へと2丁の銃を構え、放った。
丁度振りかぶっている彼の攻撃と弾丸では、圧倒的に弾丸の方が早い。
完全なる感覚で弾を彼の体中心部へと狙っていた。
この一瞬で小さい的である顔面を狙うような度胸は、今の俺にはなかった。
弾の行方を見ずに着地、すぐさまフィールドの遮蔽物へと身を隠した。
弾は見事に彼の両脇腹へと、シンメトリーに直撃していたらしい。
奴が両方の腹を押さえているのを移動と同時に分かった。
「っ…… 口だけでは無いようだな無能力者よ」
弾をリロードし、遮蔽物関係なしに攻撃しそうなので、すぐさましのぎ脚でこの場を立ち去る。能力者との戦いは隠れ場所など全くともって意味はない。
彼らは無茶苦茶なのだ。
そんな無茶苦茶加減を卍城王也との戦いで学んだ。もちろん戦闘に関してもだが……
思考が恐ろしいまでに冷静になっていた。
障害物を転々とするように回避行動を続けながら、研ぎ澄まされた神経で彼のいままでの動向を観察、そして今までの彼の能力について考える。
彼はモグラたたきのように障害物を一つ一つ潰している。
第1攻撃目彼は俺の銃弾を見事に喰らわなかった。
喰らわなかったというよりも弾丸が、彼の目の前で、生気を無くしたように落ちたのだ。
明らかにあれは、彼の目の前に見えない”壁”があったに違いない。
これは拒絶系統系能力者のバリア展開能力。
この銃の威力は並大抵のものならば簡単に粉々にすることができる。
人工物では到底到達できないような強度なんだろう。”能力者”というものに乾いた笑いが出る。
こいつはバリアの情報全てが、都合の良いように変形できると分かった。
先程の振り切った攻撃は、バリアを太刀の形へと変形させ攻撃したのだろう。
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